【山口敏太郎の現代妖怪図鑑41】黒い腕を伸ばし子供を地中に引きずり込む「つくし鬼」

2021年05月26日 11時30分

つくし鬼

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第41回は「つくし鬼」だ。

 ある地方に伝わる鬼系列の妖怪である。つくしが生えてくる場所の地中に潜んでいるとされる。子供たちがつくしを採っていると、なかなか引き抜くことができないつくしがある。子供が「一人でもできるもん」と強引に引き抜くと、中から黒い腕が出てくる。これが妖怪「つくし鬼」である。姿は腕しか見えないが、子供を地中に引きずり込んでしまうとされている。

 この「つくし鬼」という言葉は興味深い。旧国名で判断すると筑紫国(つくしのくに=福岡県筑紫野市)の可能性もあるのかもしれない。つくしが生える季節というから、春先に出没する妖怪であろう。

 腕しか姿を現さず、腕が単独で人間を襲うという設定はいかにも鬼の伝説に多い。引き抜きづらいつくしを強引に引き抜くと、この妖怪が出るとされていることから、ひょっとしたら植物系の妖怪かもしれないし、地中でそのつくしを鬼が引っ張っていたのかもしれない。

 子供たちの間で伝えられるこの手のローカル妖怪のデータ分析をさらに進めていくべきである。

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