【山口敏太郎の現代妖怪図鑑39】人間の味覚を奪う「舌ぬすみ」

2021年05月12日 11時30分

舌ぬすみ

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の〝百鬼夜行絵巻〟を作り上げていく。第39回は「舌ぬすみ」だ。

 山に生息している妖怪であり、人間に憑依する憑き物の一種である。この妖怪「舌ぬすみ」は、人間の味覚を奪うといわれている。別名「舌とり」とも呼ばれている。憑依された人間は何を食べても味がしなくなる。

 この辺の設定が現在、流行中の新型コロナウイルスの症状を連想させる。この妖怪はコロナの出現を予言していたのだろうか。この妖怪に山へと帰ってもらうためには、様々な食べ物を食べて「舌ぬすみ」を満足させないといけない。誠に厄介だ。

 また、ゴマが嫌いだといわれており、ゴマをたくさん食べると、山に帰るとされている。

 この「舌ぬすみ」のように人間の五感を奪う妖怪は他にもいる。大阪と和歌山の県境に出る妖怪「目塗り」は視覚を奪うという。この妖怪は人間の目を墨で塗ったように視界を暗くしてしまうと伝えられている。

「舌ぬすみ」は現代人の我々からすれば、味覚障害という病気である。かつて日本人は理解できない現象を妖怪にたとえ、妖怪として認定することで安堵感を得たのであろうか。

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