【山口敏太郎の現代妖怪図鑑36】敵意はないが…会ってしまうと水中に引きずり込まれる「田馬」

2021年04月14日 11時30分

田馬

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第36回は「田馬」だ。

 田馬=田んぼの馬と書いて、「でんば」と読む。田んぼに現れる妖怪の一種であり、突然姿を現し、目撃した人間を驚かすという。田んぼや畑における農作業は過酷を極め、多くの牛馬が使役された。酷使された牛馬は死後、田んぼの脇の馬頭観音に祭られ、畏怖と尊敬の対象になった。生前は人間に使われていた牛馬が、死することにより妖怪や神となって人間に復讐することを防ぐため、祭るのだ。

 古来、日本人の生活と牛馬は密接に関係してきた。そのためだろうか、馬に関する妖怪は多い。

 突如姿を現す「馬の首」や「馬の足」や、徳島県で目撃された「首なし馬」「夜行さん」、現代妖怪では本紙連載でも紹介した「尻切れ馬」などが語られている。

 基本、この妖怪は山里に出るとされ、田んぼから首を出して、まるで田んぼの中を泳ぎ回るような姿をして現れる。人間に対しては強い敵意を持っていないらしく、人の顔を見ると「ブルルル」と歯を見せて笑う。しかし、この妖怪「田馬」に会ってしまった直後は、水辺にしばらくは近づかない方がいいとされた。なぜなら「田馬」に水中に引きずり込まれるからだという。