「ゴブリン」と聞いて、皆さんはどんなモンスターを思い浮かべるだろうか。ゲームに出てくるような群れで襲ってくるモンスターが一般的だろうが、欧州の伝承によれば、いたずら好きだったり人の手伝いをしてくれる妖精がそう呼ばれている。妖精の本場の欧州でも、さすがに伝説上の存在として考えられているようだが、中には今でも実在が信じられている地域がある。それはアフリカ諸国だ。

 アフリカでは今でも呪術師が存在しており、呪いや妖精、悪魔のたぐいが実在すると考えられていて、生活にも密接に関わっている。サッカーなどの試合で呪術師に勝利を祈願するという話を耳にしたことのある人も多いのではないだろうか。そんなアフリカ諸国では、今でもたびたびゴブリンが現れては悪さをすると言われている。

 呼び名は国によって違い、ジンバブエでは「ティコロシェ」と呼ばれていたり、南アフリカ共和国やレソトでは「トコロシェ」と呼ばれているそうだ。

 基本的に目には見えないそうだが、灰色の小さなサルに似た姿をしているという。他の未確認生物と違う点として、前述の呪術師に使役されて悪さをはたらくと言われている。

 ティコロシェの仕業とされる事件はアフリカ各地で報告されている。先日、ボツワナの小村トバネにて、ある少年が2週間ほど前より「目に見えない小柄な何か」に首を絞められたり、肩を叩かれたりするようになり、学校を休むようになってしまったという。隣国ジンバブエでは、少年を悩ませているものはティコロシェではないかと噂になっているそうだ。

 また、ジンバブエの南マタベレランド州グワンダの町では、ある家族が「目に見えない何者かによって家に石をぶつけられている」という事態に巻き込まれた。一家は最初、泥棒ないしは誰かのいたずらと考えていたそうだが、次第に石が投げ込まれ、壁や屋根に当たってくる頻度が増え、さらには投げ込んだはずの人が見当たらない等の事象が頻発するようになり、ティコロシェの仕業ではないかと考えるようになったそう。

 他にもジンバブエのニャンガで、ティコロシェが10人もの人間を殺害。遺された家族もまた悪意に満ちた霊によって苦しめられているという事件が発生したこともあった。この時は地元の別の呪術師が祈祷して騒動は収まったとされている。

 まさか本当に全てティコロシェの仕業とは考えにくいが、警察があまり捜査しておらず、また少なくとも現地の人々は納得しているとのこと。未確認生物の存在がある意味で認められている、希有な事例と言えるかもしれない。