【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑403】絶滅した「タスマニアタイガー」オーストラリアで撮影?

2021年03月05日 12時00分

 すでに絶滅してしまったはずの生物が今もひそかにどこかで生き残っているのではないか、とする話はたびたび聞かれる。

 かつてオーストラリアに生息していた「タスマニアタイガー(フクロオオカミ)」もその好例だろう。オーストラリアのタスマニア島に生息していた生物で、オオカミに似た姿に進化しているため、収れん進化の一例として紹介されることも多い。なお、体の背中から尻にかけて虎のような縞模様があるため「タイガー」と呼ばれている。

 大航海時代の後、オーストラリアに入植者が入ってくるようになると、羊などの家畜を襲う害獣とみなされ、乱獲されて数を大きく減らし、1933年に野生の1頭が捕獲。動物園で飼育・保護されていたが、1936年9月7日に死んだことで絶滅とされた。

 しかし、そんなタスマニアタイガーの姿を見た、という証言は現代に至るまで今もたびたび報告されており、「実は生きている個体が自然界に存在しているのではないか」という説が唱えられ続けており、実際にタスマニアタイガーの写真や動画といったものも多く報告されている。惜しむらくは、その画像や動画の大半が遠方にいる動物らしきものを捉えたものだったり、不鮮明なものだったりする点だ。

 だが、先日ついに「鮮明なタスマニアタイガーの写真を撮影した!」という報告が寄せられた。オーストラリアの「サイラシン・アウェアネス・グループ・オブ・オーストラリア(TAGOA)」の会長であるニール・ウォーターズ氏が発表したもの。サイラシンとは、タスマニアタイガー=フクロオオカミの意味だ。

 ウォーターズ氏はタスマニア北東部の森の中に仕掛けた野外カメラに、タスマニアタイガーの家族とみられる生物が鮮明に写ったと主張している。写真の1枚目は母親、2枚目には小さな子供、3枚目には父親と思われる家族の姿がそれぞれ写っているとのこと。この発言は非常に注目を集め、もし事実ならば絶滅動物のくくりから出るのでは、と噂になった。

 そして3月1日、ウォーターズ氏は自身の動画で、問題の画像を公開したのである。そこにはいずれも深い藪の中を歩く生き物の頭部や背中、尻尾と後ろ足など部分的にであるが、確かにほ乳類らしき生物の姿がはっきりと捉えられていた。

 だが、「本当にタスマニアタイガーを捉えたものだったのか」という疑問は残る。そこで、オーストラリアの生物学者であるニック・ムーニー氏がこの画像を検証。その結果、「写真の生物はおそらく、タスマニアに生息するアカハラヤブワラビーではないか」との見解を示している。

 3枚はいずれも部分的なものではあるが、「タスマニアタイガーの毛皮の色、特徴的な縞模様がないこと。また体形や足の形が違う」という相違点が見てとれるという。彼は「もし静止画でなく動画であったら、まだ判断は変わったかもしれない」としているが、やはりタスマニアタイガーである可能性は低いとみているようだ。

 同様の反論は他の学者からも出ており、有袋類進化生物学者アンドリュー・パスク氏も「画像を見る限りでは、猫や犬、ワラビーの可能性が高い。そもそもタスマニアタイガーの確実な目撃例が85年間ほとんど存在しないことを考えると、やはり別の生物であると考えた方が良さそうだ」と述べている。

 一方で、興味深い研究結果もある。あまりに近年でもタスマニアタイガーの目撃報告が相次いでいるため、現地の研究グループが1910年から2020年までに報告された約1200件のタスマニアタイガーの目撃情報を収集し、目撃された地点の「詳細な再構築とマッピング」を行った。すると、なんとタスマニアタイガーは「1990年代後半または2000年代初頭に絶滅した可能性が最も高い」という結論に至ったのだ。

 この結果を考慮して、研究グループはタスマニアタイガーがまだ生息しているかどうかの問題にも取り組んでおり、主任研究員のバリー・ブルック氏は「可能性は10%未満であるが」と前置きしつつも、「集計データからは、タスマニアタイガーが人里離れた荒野で種を継続させている可能性が示唆されています」と語っている。

 もしかしたら、いつの日か本当にタスマニアタイガーが我々の前に姿を現してくれるのかもしれない。

【関連動画】
https://www.youtube.com/watch?v=xMEKGLjzjBE

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