【山口敏太郎の現代妖怪図鑑30】河童業界最強の親分が生息する利根川に潜む「ピチャピチャ小僧」

2021年03月03日 11時30分

ピチャピチャ小僧

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第30回は「ピチャピチャ小僧」だ。

 千葉県は河童が多く生息する県である。中でも銚子市に生息する河童は、特筆に値するものが多い。さすが河童伝説の盛んな土地である。

 この「ピチャピチャ小僧」は、銚子市に生息する河童の仲間である。日頃は利根川の水中に潜んでおり、基本、雨の日しか姿を現さない。雨が降ると利根川から岸に上がってきて、銚子市内を「ピチャピチャ」と足音を立てて歩き回る。そして特定の家のドアをノックすると言われている。

 別名「ビチャビチャ小僧」とも。人によって違うようで、「ピチャピチャでも、ビチャビチャでも構わない」という意見が多いらしい。

 河童の亜種だと思われる。そもそも、銚子市を流れる利根川は河童伝説が豊富である。河童業界の中で、日本最強の呼び声が高い「ねねこ親分」が生息するのが利根川なのだ。ねねこ親分は、女性の河童らしく、子供がいるといわれている。ちなみに河童は女性の割合が少なく、男性9割に対して女性は1割ほどしか存在しない。

 これに対抗すると言われるのが、九州最強と呼ばれる9000匹の子分を従えた「九千坊」である。九千坊は九州北部に勢力を誇り、最強の呼び名をほしいままにしていた。この両者が対決し、なんと見事、関東を束ねる、ねねこ親分が勝利したのである。

 一体誰が目撃したのか、どのような技が決め技になったのか、どちらかが死ぬまで戦ったのか、定かなことは我々人間ではうかがい知ることができない。しかし、河童業界最強の親分が利根川に生息するのだ。

 ちなみに昭和初期までねねこ親分の手が奉納された祠(ほこら)が実在した。しかし、その手は焼却処分にあってしまい、祠も壊されてしまった。河童への畏敬の念は確実に失われているのだ。

 利根川沿川の河童伝説は今、危機にひんしている。

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