未確認生物の中には、現地で長らく妖怪として考えられていたものや、妖怪と同じ名称のものも多い。日本では「河童」などが該当するだろう。

 アフリカのガーナやトーゴに伝わる吸血鬼に「アサボンサム」や「ササボンサム」という名前のものが存在する。

 アサボンサムは木の上に潜んでおり、フックのように曲がった脚を持っていて、下を通りかかる人を引っ掛けて釣り上げ、鉄のように鋭い歯でかみ付いて血を吸うのだという。これは水木しげる氏も著作の中で「南方妖怪」のひとりとして紹介しており、民芸品をモデルにした顔は、突き出た舌と独特の配色が非常に印象的なものであった。なお、水木氏は著作でアササボンサンという名前で紹介しており、昭和の子供向け妖怪図鑑の記述を比較すると生息地域や名称にぶれがあったりする。

 この吸血鬼に近い存在として、ササボンサムという妖怪がいる。こちらも木に隠れて人を襲うが、姿は人間よりもコウモリに似ているそうだ。顔は人間に似ているが、非常にやせた姿をしていて常に飢えており、人間を襲っては血を吸うのだそうだ。

 いずれも地域に昔から根づいた吸血鬼で、ガーナのアシャンティ洞窟にはその姿を記した壁画も存在するというが、なんとこの妖怪が実際に目撃されたという情報が出ている。

 1928年、人間のような顔をした1・5メートルほどの体の生物が出現。頭には小さなツノ、あごひげが確認され、体は白黒のまだら模様で、広げると6メートルにもなる巨大な翼が短い腕についていたという。

 地元の人々はササボンサムが出現したと騒いだそうだ。この話を聞いたベルギーの動物学者、ベルナール・ユーベルマン氏は、生物の特徴からアフリカ諸国で確認される翼竜に似た特徴を持つ未確認生物「コンガマトー」や「オリテアオ」と同様の生物なのではないかと考えた。また、同一の生物だが地方によって呼び方が違うのではないかとする仮説も挙げている。

 現在ではササボンサムをはじめとする翼竜型未確認生物の目撃証言も減っているそうだが、また目撃証言が復活するのではないかとも考えられている。