オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第19回は「カシマレイコ」だ。

 夢に出てくる女「カシマレイコ」は別名「カシマさん」「仮死魔霊子」とも呼ばれる。

 この妖怪は夢の中に出現したり、雨の日の道端にも出るそうだ。体の一部(足だったり手だったり様々なパターンがある)が欠損しており、その欠損したパーツを欲しがる。また、カシマさんの話をすると、3日以内に姿を現すともいわれている。

 撃退方法は、「仮面のカ、死のシ、魔物のマ、霊のレイ、事故のコ」と唱えると消えていくらしい。

 一説によると「口裂け女」の本名はカシマレイコというそうで、両者には深い関係があるものと思われる。手足が欠損しており、その欠損した手足を欲しがることから「テケテケ」とも関係があるのかもしれない。

 なお、カシマさんの初期パターンには軍人の姿をしたものもある。これに関しては興味深い逸話がある。

 日露戦争当時、出征地に向かう兵隊を乗せた汽車が、白河の鹿嶋神社の近くで止まった。しばらくして動き出したが、兵士たちの間で「鹿島様が乗車したんだ」と噂になり大いに士気が上がったという。

 これは筆者の推理にすぎないが、カシマさんは間違いないなく「鹿島様」が零落した姿である。