このUMA図鑑では、UMAと聞いて皆さんが思い浮かべるであろう「ネッシー」やヒマラヤの「雪男」から、目鼻がどこにあるか分からない肉の塊の「グロブスター」など、様々な姿形のUMAを紹介してきた。

 UMAがいかに正体不明の存在だったとしても、その姿形が既知の生物と近い場合、だいたいの生態がうかがえたりする。もちろん、中には生態が全く推測もできないものもいるわけだが。

 今回紹介するのは、1953年に米国・オレゴン州で目撃された奇妙な生物だ。同年夏、オレゴン州メドフォードの森の中にて、ある一家が車を走らせていた。ふと窓の外を見ると、そこには森の中を滑るように動く奇妙な3匹の生物がいたのである。

 その生物は長く細い首と下膨れの体をしており、全身が白く、〝非常に滑らかなサテンのような〟毛皮に覆われていた。だが、それ以外、目鼻や口はもちろん、手足や翼といった付属肢もなにも見当たらなかったのである。

 どうやって動いているのか分からないその生物は、2匹が大きく、1匹は小さかったため、まるで家族のように見えた。目撃者も夫婦と12歳の娘の3人家族で、正しく同じような構図だったといえよう。結局、その生物は森の木々の間に滑るように入っていき、姿を消したという。

 果たして、この生物の正体は何だったのか。白い毛皮に覆われた目鼻の無い塊のような生物というとグロブスターがいるが、このように長い首を持ち上げて、滑るように動く生物については他に類例がない。その見た目が米国で1940年代に連載されていた漫画のキャラクター「シュムー」に似ているとして、この生物も「メドフォード・シュムー」と呼ばれている。

 なお、初出がアメリカのUFO研究機関CUFOS(Center for UFO Studies)のニュースレターの1984年4・5月号だったため、この生物を宇宙人と見る人もいるようだ。

 ここであえて、地球上に生息している〝他の生物の見間違い〟として考えると、ペリカンやサギ、ハクチョウなどの誤認だったのではないかという推測が成り立つ。

 しかし、目撃証言が世に出てから長い年月が経っており、他に似た生物の目撃証言もないため、正体は不明のままとなっている。