【山口敏太郎の現代妖怪図鑑16】鉄砲の弾かわす「鍋かぶり」

2020年11月25日 11時30分

「鍋かぶり」の下半身はイタチのようだ…

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第17回は「鍋かぶり」だ。

 この妖怪の名前は「鍋頭」と書いて「なべかぶり」と読む。これは山に住んでいる獣の妖怪で、頭に鉄鍋をかぶって後ろ足で立ち、猟師が放った鉄砲をこの鍋でかわしているという。

 猟友会に加入していた男性が、獲物の気配を察知して鉄砲を打ったところ、「カーン」と金属に当たる音がした。おかしい…といぶかしんでよく見ると、茂みの中からイタチのような下半身で、上半身には鍋をかぶった怪物が出てきた。

 どうやら頭からかぶった鉄鍋をうまく使って、鉄砲の弾を避けたようだった。これは猟師仲間の間で、「鍋頭=鍋かぶり」と呼ばれているものであり、もう何年も前から出没しているという。

 人間の攻撃を学習した知恵のついた獣であろうか? どちらにしろ、もはや獣ではなく妖怪と言っても過言ではない。

 昔話でもこの手のものは多い。寺の釣り鐘を抱えて銃弾を避ける猿が出てきたり、化け猫が出てきたりする。山に住む獣は、時にこのような行動に出るのであろうか。

 なお、傘をかぶったり、網をかぶったりすると妖怪あるいは異人扱いされることがある。

 女性が美人に見える条件として「夜目遠目笠のうち」という言葉があるが、化け物の条件もこれに当てはまるようだ。

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