【山口敏太郎の現代妖怪図鑑15】「注射男」全身包帯だらけで毒薬を…

2020年11月18日 11時30分

予防接種に対する過度の恐怖心が注射男を生んだ?

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第16回は「注射男」だ。

 この現代妖怪は、全身包帯だらけの怪しい姿をしている。電柱の陰に隠れており、帰宅途中の小学生を呼び止める。時間を聞くふりをして、その子の腕を取り、毒薬を注射するという。この妖怪はいかにして生まれたのであろうか。ひょっとすると、インフルエンザの予防接種など少年時代の注射に対する過度の恐怖心が生んだ魔物ではないだろうか。それとも、いくつかの事件で使用された筋弛緩剤など、薬物犯罪によって生み出された産物であろうか。

 どちらにしろ、現代では妖怪が妖力ではなく、毒物を使用するようになったのである。また、一部の人には先端恐怖症というとがった物に対する恐怖心がある。この恐怖症が妖怪化した可能性も高いようだ。妖怪は人間の“恐怖の種類”ごとに成立するのだ。あるいは近年問題になっている医療不信がその背景にあるのかもしれない。

 ちなみに都市伝説では、座敷牢に閉じ込められた男が死んで、この妖怪になったともいわれている。

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