10月31日のハロウィーンは、もともと古代ケルトに端を発する行事だ。1年の収穫を祝い、悪霊を追い出す宗教的な意味合いのある行事だったが、現在ではだいぶ娯楽色の強いものとなっている。そのためか、ハロウィーンが近づくと幽霊や妖怪の話題が注目を集めるという。

 そんな中、海外の投稿サイト「Reddit」で、ある奇妙な動画が投稿され、再注目されている。画像は白黒で、夜間に2人のティーンエイジャーが玄関先でギターを弾いている様子を撮影したもの。彼らが気持ちよくギターをかき鳴らしていたところ、撮影していたもう一人が闇から這い出てくる奇妙な人影を発見。細い腕を伸ばそうとする不気味な人型生物を見た彼は「後ろにトゥユルが来てる!」と叫ぶが、一瞬で人型生物は姿を消してしまう。どこに消えたのかと思いきや、なんとカメラの前に突如出現。撮影者がパニックに陥ると、少し離れた場所に降り立って姿を消したのだという。

 この生物は地元で「トゥユル」と呼ばれる妖怪だとされている。トゥユルは身長約50~60センチの子供ほどの大きさをした妖怪で、はげ上がった頭に細い手足をしているという。

 動画に捉えられた人型生物は、確かに伝説の妖怪と同様の外見をしているようだ。動画では異様に腕が長く湾曲しているようにも見えるが、トゥユルには骨がないのだそうだ。触るとウナギのような触感で、足は人間のようだが指が皮でつながっているという。トゥユルはすばしっこい上に持久力もあり、また瞬間移動や浮遊移動もできるそうで、動画のようにワープするような動きも確かにできるそうだ。

 伝説に合致したこの動画は、本当にトゥユルを捉えたものなのだろうか?

 だが、この動画は2009年に始めてネット上に投稿されて以降、多くの人からフェイク動画ではないのかと疑問を呈されてきたものでもあった。神出鬼没なトゥユルの動きはカメラワークで演出したもので、「4人目」がトゥユルに扮装して再現したものではないかと考えられていたのだ。

 フェイク説が出た衝撃動画も、公開されてから年月がたてば内容に関する記憶が薄れたり、初めて見る人も出てくるため、新鮮に捉えられて話題になったとみられる。

 なお、インドネシアではトゥユルを用いた詐欺も多く行われているそうだ。

 トゥユルは小柄な体を生かして少しずつ金目のものを盗んでいくとされており、盗んだ金は溜め込んだり使役している呪術師に届けてくれるという。そのため、うまくトゥユルを捕まえて使役することができれば金持ちになる、と言われていた。

 そのためか、たびたびネット上などで「トゥユル入りの小瓶」が登場し、高額で取り引きされることもあるのだという。だが、瓶の中に入ったトゥユルは所詮ただの人形にすぎず、購入者はだまされたことに気づく…という詐欺だ。

【関連動画】Penampakkan tuyul di daerah BOGOR
https://www.youtube.com/watch?v=maWBtKs_NTY