【山口敏太郎の現代妖怪図鑑12】太鼓の音とともに現れる尻切れ馬

2020年10月21日 12時25分

尻切れ馬

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊などなど、現代人が目撃したモンスターなどなどを記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第12回は「尻切れ馬」だ。

 その名前の通り、この妖怪はお尻から後ろがない異形の姿をしている。つまり、上半身だけの馬なのだ。

 馬の妖怪といえば、伝説などでよく語られる存在として「夜行(やぎょう)さん」が乗っている「首切れ馬」(首なし馬)が連想されるが、これはその逆パターンである。

 ちなみに「夜行さん」が伝承されている徳島県では、比較的多くの「首なし馬」の伝承が確認できる。「首切り馬」と「首切れ馬」は違う妖怪だと言われている。「首切り馬」は人間の首を切りに来る馬であり、「首切れ馬」は首がない状態で走っている馬のことである。

 さらに、形状が逆パターンの妖怪といえば、首が人間で体が牛の「件(くだん)」と、首が牛で体が人間の「牛女」と同じである。どちらも家畜がベースになっているのが興味深い。

 この「尻切れ馬」は、夜間に太鼓の音とともに現れるらしい。出てきても見つめるだけで、害を加えることはないが、見た者は神社でのおはらいを勧められるという。

 絵馬のルーツにあるように、神社に供えられた供物としての馬がこの妖怪の源流であろう。

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