【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑383】地下の洞窟に住んでいた「コウモリ少年」の真実

2020年10月16日 12時00分

コウモリ少年を報じた本紙

 オカルト好きの人でもそうでない人でも、このインパクトのある顔を見たことがある人はいるのではないだろうか。1990年代に米国の新聞に掲載された、「洞窟に住んでいたコウモリ少年」である。

 米国・ウエストバージニア州セネカロックスにあるシェナンドー山には、なんと地下3200メートルまで広がる巨大な洞窟が存在しているという。そんな洞窟の最奥に住んでいたのが、今回紹介する「コウモリ少年」であった。

 体長は約60センチ、体重約9キロで3~4歳程度の子供とみられた。琥珀色の目はぎょろりと大きく、耳はとがっており、口にはキバが並んでいた。ずっと地下で生活していたせいか明るい光におびえ、コウモリのように生きた虫しか口にしなかったという。

 発見時に立ち会った動物学者のロン・ディロン博士によれば、見つかった時は岩の間に挟まって、キーキー鳴いていたという。研究所で調査したところ、巨大な目は暗闇でもよくものが見え、大きくとがった耳はレーダーの役割をしていたことが判明したそうだ。

 後にこのコウモリ少年はFBIの関連機関に引き渡され、DNAを含めた生体の検査が行われることになった。しかし、コウモリ少年は後に研究所から脱出、全米で人に危害を加えるなど多数の被害を出したという。

 UMAやオカルトに強い東京スポーツも1993年に2回にわたってこのコウモリ少年を報じており、強烈なインパクトを人々に残していた。

 さて、読んでいた人も薄々感づいていると思うが、当然ながらこの記事は創作である。この記事が掲載されていた新聞「ウイークリー・ワールド・ニューズ」はオカルト系の創作記事を多く掲載していた週刊タブロイド紙だった。大げさな見出しと派手なコラージュで開き直った紙面構成がかえって人気を博したのか、80年代には発行部数は120万部をマークしたという。しかし、2000年代に入ると売り上げは急落し、07年8月27日をもって紙版の発行は終了した。しかし、現在でも公式サイトでトンデモ記事の発信は行われている。コウモリ少年は、そんなニューズ誌の看板キャラとも言える存在だった。

 生みの親は編集者のディック・クルパ氏で、ライターのボブ・リンド氏が設定などを肉付けしてコウモリ少年の記事が出来上がった。92年6月23日にコウモリ少年の顔がニューズ誌の1面を飾った結果、この号はこれまでにない売り上げをマークし、あまたのタブロイド誌の中で2番目に売れた号となった。

 即座にネタと判明してもなお、コウモリ少年は広く愛されるキャラクターとなった。97年には彼を主人公としたミュージカルが公演され、ニューズ紙が07年に終了するまで、誌面で彼を主人公とした漫画も掲載されていた。他にもコウモリ少年をかたどった人形やオモチャも販売されており、愛され続けるキャラクターとなっているようだ。