【263】オズボーン号が目撃した風変わりなシーサーペント

2018年06月22日 12時00分

「シーサーペントを目撃したオズボーン号」のイラスト

 昔から海には巨大なウミヘビの怪物「シーサーペント」が出現すると言われていた。姿はそのものずばり巨大なウミヘビのようなものが大半で、北欧や欧州などさまざまな地域に目撃例の記録が残っており、20世紀初頭まで報告例が存在していた。

 たびたび海岸に漂着する謎の巨大生物の死体「グロブスター」も、このシーサーペントの死骸の一部ではないかとされることもあり、目撃例が少なくなった近年でも実在の可能性が挙げられることがたびたびある。

 そんなシーサーペントの姿は前述のとおり巨大なウミヘビというものが大半なのだが、中には複数のヒレを持っているなど、普通のヘビとは違う外見をしているものも存在している。

 中でも特徴的なものは、19世紀に英国海軍の帆船オズボーン号が目撃したとされるものだ。目撃された際の描写をもとにしたスケッチが残っているのだが、そこには黒く丸い頭部らしきもの、大きな背中と一対のヒレが海面から飛び出ている様子が描かれている。もしかしたら海中に存在している部分はヘビのように長いのかもしれないが、スケッチから分かる姿はウミヘビというよりはウミガメに近い見た目であることが分かる。

 この謎の生物は1877年6月6日、オズボーン号がジブラルタル海峡付近を航行中に目撃したものだ。時刻は夕方、波は穏やかであったという。その生物は船から1・5キロほど離れたところを泳いでおり、丸い頭の大きさは約1・8メートル、首は短く1・2〜1・5メートル、肩幅は4・5メートルとかなり広く、そこからウミガメのものに似た長さ4・5メートルの大きなヒレが生えている様子が確認できたそうだ。

 また、海中に没しているところも含めると、体全体の大きさは15メートルほどもあるように見えた。ヒレはウミガメに近かったそうだが、全体的には巨大なアザラシに似ていたという。

 また、クジラのように潮を吹いたりするような行動は確認できなかった。この生物について、既知の生物のいずれとも違う姿をしていたと報告されている。

 果たして、この生物の正体は何なのだろうか。この生物に関する論文を書いたヘンリー・リー氏は並んで泳ぐサメや海生哺乳類がシーサーペントに見えた可能性について述べているが、古代の海に生息していた巨大なカメのアーケロンが生き残っていた可能性もないとは言えない。

 実際、日本近海には「海和尚」など、巨大なウミガメの姿をした妖怪が出ると考えられていた。また、生息していた中生代から環境が変化していたとはいえ、今よりはずっときれいな海にはアーケロンも適応し生息できていたのかもしれない。

 このスケッチはそんな古代のロマンをかきたてるものとなっている。