【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑372】人面魚に次ぐブームになりそこねた都内の「ツチノコ鯉」

2020年07月31日 12時00分

ツチノコ鯉を報じた本紙(1992年5月)

 日本を代表する未確認生物といえば、「ツチノコ」だろう。普通のヘビとは違う太く短い体と、今でも目撃証言がたびたびあることから、実はひそかに生息しているのではないかと考えられている未確認生物でもある。

 さて、そんなツチノコが水の中にいたとしたら皆さんはどう思うだろうか。本連載を掲載している東京スポーツで、1992年5月に奇妙な記事が掲載された。

「ツチノコ鯉、東京神田川に出現!!」と実にセンセーショナルな見出しで、「人面魚、黄金ナマズに続くスター魚スクープ第3弾」と銘打たれ、白黒ではあるが確かに腹が異様に膨れ、三角形になった奇妙な姿の鯉の画像が大きく掲載されている。

 こちらは都内在住の70代男性が東京の飯田橋駅近くの交差点で趣味の撮影を行っていた最中に発見したものだそう。すぐ交番に知らせようと思ったが、証拠がないとどうにもならないと考え、持っていた300ミリのレンズでシャッターを切ったとのこと。確かに、白黒の紙面でもはっきりと分かるほど、奇妙な鯉の姿が捉えられている。なお、体長は60センチ、幅は広いところで30~40センチはあったという。すぐに姿を消したわけではなく、周囲に小さい鯉を従えながら30分ほど悠々と川の中を泳いでおり、なかなかの貫禄だったそうだ。

 男性は「付け人を従えて泳ぐ様子は相撲取りの小錦のようだった」と述べ、「体形はツチノコをほうふつとさせるものだった」と語っている。東スポ紙面で採用されたのは後者のネーミングだったようだ。

 果たして「ツチノコ鯉」の正体は何なのだろうか。恐らく、富栄養化によって肥大化したものと考えられるが、奇形だった可能性も捨てきれない。

 当時、報告を受けた東スポ記者たちも現場に向かったようだが、残念ながら、もう姿は確認できなかったそうだ。濁った水の中に「大きな鯉がウヨウヨしていた」そうだが、やはり未確認生物のツチノコよろしく発見は困難ということか。

 ツチノコのような奇妙な魚が都会で目撃されたとあれば、多くの人が現場を訪れたりブームになりそうなものだ。過去にブームになった「人面魚」も実際には「人の顔に似た模様が額にある鯉」にすぎなかったが、ひと目見ようと思う人が多く出たものだった。

 しかし、ツチノコ鯉は出現率もツチノコと同じく一期一会の希少なものだったため、ブームになり損ねてしまったようだ。