【244】名人古今亭志ん生も「雷獣」目撃!?銚子沖で捕獲され浅草で見せ物に

2018年02月09日 12時00分

日本古来の雷獣

 筆者・山口敏太郎は現在千葉県銚子市で、この地で起きたUFO事件や妖怪伝説をもとにしたさまざまなイベントなど地域おこしに協力している。実際にイベントで撮影されたUFOに関しては、東スポ本紙でも掲載されているので見たことがある人もいるかもしれない。

 そんな銚子には昔から多くの不思議な事件や妖怪に関する伝説が残されている。銚子の海に出るという「もうれいやっさ」や雨の日に出る河童の仲間の「びちゃびちゃ小僧」など、名前も特徴も独特なものが多い。

 そんな銚子で、妖怪が捕まった!?とする報道が過去に存在した。

 問題の事件を報じたのは明治40(1907)年1月12日付の読売新聞。記事によると、銚子市内字本庄(現在の本城町か?)で理髪店を営む久永熊太郎という人物が11月半ばに銚子沖へ漁に出たところ、仕掛けたイワシ網に奇妙な生物がかかったという。

 アザラシなどの海の生物でもないようだったので捕獲して港に帰り、問題の生物は東京・深川区(現在の江東区深川)西平井町に住む西田竹松方に引き渡された。おそらく正体が不明であったため、専門家に鑑定を依頼するために譲ったと思われる。

 東京での持ち主となった西田氏も動物園へ生物を引き渡そうと思っていたようだが、あまりに人々に注目されたため「買い取らせてほしい」とする香具師なども出てきて騒動になったようだ。

 問題の生物は身長1尺4〜5寸(約45センチ)ほど、全身が茶褐色の毛に覆われており耳は短く、顔はネズミに似ており、尾は長くイタチのようだったという。人間には慣れておらず人を恐れており、牛肉を与えて飼育していたそうだ。

 記事から得られる情報ではイタチやカワウソに似ているようだが、当時の人々が見間違えたとは考えにくい。当時の報道では、発見時天候が悪く「常に雷鳴がしていた」ことから、イタチに似た外見で雷とともに行動するという妖怪「雷獣」を捕まえたのではないかとしていたようだ。

 この妖怪については、山口敏太郎が監修を行っており、東スポ公認のパロディー紙面で有名なタウン誌「銚子スポーツ」でも紹介された。その後の調査によって、東京は浅草で問題の雷獣が見せ物として公開されていたことが判明した。

 こちらの情報は同年1月23日付の読売新聞に小さく広告が載っているだけなのだが、大きく「怪獣」と紹介され、「浅草公園」「珍世界」で公開中であることが見て取れる。珍世界は現在の浅草六区に存在した、珍しい博物標本等を展示していた見世物小屋的なテーマパークだったようだ。

 過去には「変幻光線 X光線」「馬ヨリ大ナル北極熊」「大判小判古金銀」など、あおり文句がうさんくさくはあるが真面目な展示も行っていたようだ。

 珍世界には落語の名人古今亭志ん生も子供のころに訪れており、その時は「雷が捕れた」という触れ込みで生き物が展示してあったのだという。だが、その生物は今で言うナマケモノに見えたそうだ。

 もし、この古今亭志ん生が見た「雷」が銚子で捕獲された雷獣だったとしたら、あの生物の正体もどこからか(海外から来ていた船から落ちた?)やってきて漂流していたナマケモノだったのかもしれない。

 さて、この手の「捕獲された未確認生物」の話としては「研究機関まで連れていかれた」「見せ物として連れていかれた」という話が出てくるものの、展示されていた様子が確認できるまで追跡されるケースはまれである。似たケースでいうと、氷漬けで見せ物になっていた「ミネソタ・アイスマン」の事例があるだろうか。

 ともあれ、この「銚子で捕獲された雷獣」のケースはUMA史においても非常に珍しい一例であると言えるのは間違いがないだろう。