先日、大物芸人の志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなった。子供のころからドリフターズの番組に慣れ親しんだ筆者としては悲しいことこの上ない。ご冥福をお祈りしたい。

 志村けんさんについて、筆者が記憶している印象的なことがある。その昔、筆者が小学生のころに読んだ学習雑誌に、芸能人の不思議体験が多数掲載されていた。

 岩崎宏美がのっぺらぼうに遭遇したとか、石坂浩二がハワイから洋服についた幽霊を持ち帰った話とか、昭和の小学生はこのような記事に常にワクワクさせられたものである。

 そんな中、志村けんさんは地元・東村山市の近隣である東大和市の多摩湖において謎の巨大生物に遭遇したという話を紹介していた。それが多摩湖のUMA「タマシー」である。

 当時はまだ未確認生物の筆頭、ネス湖の「ネッシー」の正体についてさまざまな説が出ていたころであり、正体について現代ほど否定的な見方もなく、ましてや当時の子供はネッシー=古生物の生き残りと強く信じていた。

 そんな時代に、すでにお茶の間の笑いをさらっていた志村けんさんが「日本にもネッシーのような生物がいる」と言ったのである。当時、記事を読んだ人の心に強い印象を残したものであった。

 なにせ現在ネットで検索しても当時の記事が出てこないため、詳細は記憶のみとなるが、タマシーは非常に大きな水生生物で、恐竜の生き残りではないかというような内容だった。

 では実際、多摩湖にネッシーのような未確認生物が生息している可能性はあるのか。そう思って調べてみたところ、なんと多摩川に「タマゾン」なる巨大生物ないしは危険生物が生息しているという情報を発見した。

 もっとも、このタマゾンは外来種で巨大に成長する古代魚のアリゲーターガーであり、どうも釣り人にこの愛称で呼ばれているらしいことが判明した。

 多摩湖や多摩川は今も昔も、多くの魚が生息している釣りスポットである。当時、アリゲーターガーが生息していたかはさだかではないが、他にも巨大に成長することで有名なソウギョやアオウオ、コイやナマズが誤認されたりした後にタマシーと呼ばれるようになった可能性はある。

 今では記事も確認できなくなったが、もしテレビ番組などで共演する機会があったならば、直接尋ねてみようと思っていたのだが、その機会はついぞ失われてしまった。