【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑349】マーメイドというにはあまりに不気味な「アデン湾の人魚」

2020年02月14日 12時00分

「アデン湾の人魚」として知られる写真

 昭和の雑誌に掲載され、紹介されることがたびたびあった奇妙な生物の写真が存在する。

 海外で撮影された古い写真で、成人した男性や女性らの間に奇妙な風貌をした巨大な生物が立っているというものだ。周囲にいる人や周りの風景に多少のバージョン違いのものがいくつかあるが、変わらないのはその生物の姿だ。人間を超える、2メートルはあろうかという巨体は足がなく、代わりに大きな尾ビレがある。腕などは確認できず、体の割に小さな頭部にはギョロリとした白い目と歯が並んだ口があり、不気味な顔となっている。

 しかし、この生物は人々に受け入れられていたのか、頭部や顔の周りが飾り付けられており、大きなロザリオを首からかけられてすらいる。果たして、この生物は何だったのだろうか。そしてこの写真の来歴とは…。

 この写真は「アデン湾の人魚」として知られるUMAを撮影した写真として知られるものの一つである。第一次世界大戦ごろ、中東・イエメンのアデン湾で人魚が見つかったと騒動が起きた。その時に捕まえられ、剥製にされたのが、この写真になったアデン湾の人魚らしい。

 だが、この生物の正体は見ての通り、ジュゴンだと考えられている。奇形だったのか、それとも剥製にした際に顔がゆがんでしまったのかは分からないが、不気味ながらより人間に近い風貌になったため、珍しい見せ物として人気になっていたようだ。

 このような生物を記念に絵ハガキやブロマイドにする風習は昔から世界中で確認されており、我が日本でも「鬼」や「河童」のミイラとされる妖怪の剥製の記念絵ハガキなどが存在していた。テレビなどがなかった昔、人々はこのような変わった記念ハガキをこぞって収集していたものと思われる。

 さて、イエメンに面する紅海やアデン湾付近では、数が少ないながらも現在でもジュゴンが生息していることが確認されている。漁の際に誤って捕獲されたり、傷つけられてしまうことが問題視されているため、アデン湾のジュゴンが伝説の人魚同様に姿を消してしまわないよう、保護活動と対策が急務となっている。