英国・グロスターシャー州で伝説として語られている未確認生物が「ディーンの獣」である。残念ながら書物など文書になっている記録は残っていない。

「ディーンの獣」が出現したのは「ハリー・ポッター」シリーズでも有名なディーンの森。イングランドの南西部に位置するグロスターシャーにあり、王族の狩猟場でもあった。ディーンの森は広大な古代森林で神秘的な観光スポットだ。

 イノシシのような頭を持つが、体は非常に大きく、ヘラジカほどの大きさだったという。ヘラジカはだいたい体長が2・4〜3・1メートル、体高は1・4〜2・3メートルもある。この見た目から「ムース・ピッグ」とも呼ばれている。ムースとはヘラジカのことだ。

「ディーンの獣」が最初に認識されたのは1802年のこと。森から聞こえる轟音によって付近の住人は悩まされていた。その後、森の中で樹木はなぎ倒され、人の作ったフェンスも破壊された形跡があり、時には「ディーンの獣」と思われる轟音が響いた。

 パーケンドという村の住人が獣を捕獲、殺害しようとしたが、結局何も見つからなかった。1807年3月を最後に獣のものと思われる轟音や森の傷痕はなくなってしまう。

 この発見されなかった獣の容姿がなぜ判明したかというと、1998年に今度は目撃されたからだ。地元の2人の住人がディーンの森で低いうなり声のようなものが聞こえた後に、葉が揺れる音を聞いた。音の方を見てみると大きな生物の影があったのだという。走って逃げた2人は森を抜け、明るい道路に出ると「この世のものとは思えない」と言った。

 ちなみに英国ではイノシシは狩りの対象として好まれ、13世紀には絶滅してしまう。どう猛で人間にも危害を加えるイノシシは英国では“悪い動物”というイメージが定着している。その後もフランスから輸入され、野生化して絶滅、これを繰り返しているため、正確な絶滅の時期は判明していないそうだ。

 こうして英国中で有名になった「ディーンの獣」はSFドラマ「プライミーバル」の中でペルム紀(今から2億9900万年〜2億5100万年前)からタイムスリップしてきたゴルゴノプスだと結論づけられるに至った。

 ゴルゴノプスは全長2〜4メートルほどの、四足歩行の恐竜である。体毛で体温を保持したとも言われ、哺乳類と見間違える可能性もある。

 1998年の目撃例に関しては、輸入されたイノシシが野生化し、その影が大きく見えたり誇張されたのだと思うのだがいかがだろうか。

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