未確認生物や宇宙人を目撃・遭遇したという事例には時折、特撮に登場する怪物や怪人めいたものも存在する。今回紹介する「オラン・ミニャク」もその一つだ。
オラン・ミニャクは2000年代からマレーシアで目撃され始めた謎の人型UMAだ。外見は成人男性とよく似ているが、目が赤く光り、全身が真っ黒でヤミに溶け込んでいるという。特徴的なのは、その肌だ。重油やタールのような油で覆われており、そのせいで全身が黒く見えるのだという。そのため、オラン・ミニャクは別名「オイリーマン(油男)」とも呼ばれている。
もともとマレーシアには夜の闇に紛れて行動し、盗みを働いたり女性を誘惑する怪人の伝説があったため、伝説上の怪人が姿を現したのではないかと騒動になったのだ。
オラン・ミニャクが初めて出没したのは05年のこと。ある女性が夜、ナイフを持った男に襲われたというのだが、奇妙なことにその男の全身は流れ落ちるほどのオイルで覆われていたという。
また、08年にはマレーシア理科大学にて女学生たちが男性に暴行されるという事例が複数回発生。やはり、全身がオイルで覆われていたため、オラン・ミニャクのしわざではないかと大学内やその周辺で大変な噂になり、大学側が調査を行う命令を出すまでの騒動に発展したという。
同年6月にはパハン州で結婚式を控えていた女性が式場のトイレで、目が赤く光り素早く動く人物を目撃した。彼女はとっさに悲鳴を上げたため襲われずに済んだ。
12年12月には、首都クアラルンプールにほど近いセランゴール州ゴンバ郡で、およそ10日間にわたって目撃されるという事態が発生。家屋の天井に侵入してきたとみられるオラン・ミニャクのものらしき手形が発見されるなど、様々な物証が残された。
さて、このオラン・ミニャクの正体は何なのか。一つは、単純に犯罪目的のただの人間だったケースだ。実際に06年にはオラン・ミニャクのふりをして全身にオイルを塗った状態で人家に忍び込んだ男性が捕まったケースもあった。しかし、獣人型のUMAの中には女性を襲うものも存在する。
また、姿形が似ていることから近年、米国で目撃されている「グール」と同類のものではないかとも見られている。
果たして、オラン・ミニャクの正体は何なのか。若い女性の安眠が脅かされないよう、もう少し遠くへ行ってほしい未確認生物である。