世界で4番目に大きな島であるマダガスカル。日本の1・5倍の面積で、アフリカ大陸の南東の西インド洋に浮かぶ、独自の生態系を持つ島だ。

 マダガスカルはゴンドワナ大陸(先史時代にあったとされるアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸を含む超大陸)が分裂する際に、アフリカ大陸とインド亜大陸から分かれた。

 そのため、他の大陸や島との生物の行き来が少なく、現在も野生生物種の90%以上が固有種なのである。マダガスカルが「第8の大陸」と言われるゆえんでもある。

 マダガスカルでは今でも新種の生物が発見されることが多い。1999年から2010年の間に発見された新種の生物は615種、うち哺乳類が41種もいたのである。

 今年2月にはマダガスカルにすむ大きめのウロコを持つヤモリが、緊急時にはウロコを脱いで逃げる新種が話題になった。

 そんなマダガスカルなので未確認生物の目撃も実際にある。この「ボキボキ」という面白い名前を持つ哺乳類らしき動物も、そのひとつである。

 ボキボキはタヌキ、ジャッカルのようなイヌ科、もしくはマングースやミーアキャットのようなネコ科の動物に似ていると言われている。ネコ程度の大きさ、広めの顔、大きな耳を持ち、南マダガスカルに生息しているようだ。

 1998年に刊行されたデヴィッド・A・バーニーという生物学者と、ラミリソニナという考古学者の報告が確認されているという。このボキボキは肛門から悪臭を放ち、ヘビやネズミを狩るとも言われており、スカンクに近い生物なのではないかと予想される。

 マダガスカルにはホソスジマングースというマングースの一種が生息しており、これが肛門や生殖器のあたりに臭腺を持っているのである。ただし耳は小さい。体長25〜35センチ、尾長が20〜27センチで、ネコと見間違える可能性はある。

 ホソスジマングースは肉食で、マダガスカル西部から南西部にかけて生息している。このホソスジマングースに近い種か、ホソスジマングースに他の動物の目撃例が交ざって、ボキボキは生まれたのかもしれない。

 現在は人口の増加と、それに伴う環境破壊によって自然が大きく失われてきている。サファイアの採掘や家畜の放し飼いなどが問題になっている。前述のマダガスカルで発見された新種の生物も多くはすでに絶滅の危機に瀕している。

 本来、存在しているはずの生物が未確認生物になってしまうのは、人間の環境破壊によるものもあるのだろう。

【関連動画】動画はマダガスカルジャコウネコ Fanaloka (Fossa fossana) footage Rare Species Conservation Centre