米国の最北端アラスカ州の南西部にある、四国と同程度の大きさのイリアムナ湖。同州で最大、米国内でも最大級の湖だ。北をレイク・クラーク国立公園、南をカットマイ国立公園に挟まれた非常に自然豊かな土地である。

 イリアムナ湖に流れてくるニューヘレン川はサケの遡上や漁で有名で、観光客も多い一方で、鉱山による汚染が危惧される土地でもある。

 この湖には、白人が移り住んでくる前からネーティブアメリカンの間で存在がささやかれてきた怪物がいる。それが今回紹介する「イリアムナ湖の怪物」こと「イリー」だ。

 ネーティブアメリカンの間で呼ばれていた名前は「ゴナカデ」。魚の神のような存在で今も絵として伝わっている。

 イリーの大きさは3メートルから9メートルと言われ、かなり開きがあるのは、はっきりとした存在ではないからだろう。もし、この大きさが本当だとすれば、子供の時は体が小さく、成長の過程で9メートルになることが考えられる。

 体形は細長く、体色はアルミニウムのような黒灰色。大蛇や巨大ウナギのようなものを想像させるが、そうとも断定できないらしい。

 そもそもネーティブアメリカンの伝説上の精霊のような存在として、イリアムナ湖の怪物がいるということだったのだが、決定的とも言える目撃情報が出たのだ。

 時は1963年、この湖の上空を動物学者たちがヘリコプターで飛行していた。目的は湖の調査である。彼らが湖の中に大きな怪物の影を見つけた。大きさは9メートルほど、影のままの状態で水面に体の一部を出すことはなかったという。

 それまでも目撃談はしばしばあったものの、この目撃談では長時間にわたって存在が確認されたため信ぴょう性の高いものとなったのである。

 1979年にはアラスカの新聞社がこの怪物の存在を証明できる決定的な証拠の提供者に10万ドルの賞金を出すと発表したが、いまだに賞金を獲得した者はいないようだ。

 その後も1970〜80年代にも数件の目撃はある。原始的なクジラである「ゼウグロドン」の生き残り説、巨大化したイリアムナアザラシ説、アラスカに生息するシロチョウザメ説などが有力だ。

 信ぴょう性が高いと思われているのか、近年もテレビの科学ドキュメンタリー番組で特集が組まれているようだ。

【関連動画】Iliamna Lake - A Land Worth Preserving

http://www.youtube.com/watch?v=5ARRHRZUBwA