【オカルト評論家山口敏太郎のUMA図鑑】2016年5月、ラオスで衝撃の動画が撮影され、ネットを騒がせた。

 やや粗い画像には、峻険な岩山の間を飛ぶ巨大な生物の姿が捉えられている。大きな翼をはためかせている様子は鳥のようにも見えるが、カメラが寄っていくにつれ、その生物が鳥などとは別のものであることが判明する。長い尾にコウモリのような広がった翼をした、まさしく古代の翼竜ないしはファンタジー世界に出てくるワイバーンのような姿をしていたのである。

〝それ〟は悠然と飛んでいき、岩山の後ろに隠れて姿を消してしまう。果たして、この生物は何だったのだろうか。

 この動画はネット上で公開されるなり、新たな未確認生物を捉えたものではないかと話題になった。

 撮影者など詳細は明らかになってはいないが、撮影された場所が場所だったので、地元の人々から特に注目を集めたという。

 というのも、この動画が撮影されたのはサイソムブーン県にあるロンチェンという場所で、ラオス内戦時に米国のCIAにより前線空軍基地が設けられていた場所だったからだ。

 ここでは、この生物を仮に「ロンチェン・ドラゴン」とでも呼んでおこう。

 1960年代、ロンチェンは4万人が居住していたが、当時の地図には記載されていなかったので秘密都市とされ、今でも現地では基地がらみのさまざまな都市伝説や噂が残る地域だと伝えられている。

 そこで、この動画が公開された当初は「米軍が基地で秘密裏に作製していた生物だったのではないか」との噂がたったそうだ。

 しかし、UMA好きの人はこの動画を見て、ある有名なUMA動画を思い浮かべるかもしれない。そう、2012年に英国で撮影されたという「ドラゴン」の動画だ。

 こちらはコーンウォール地方の港町に出現したとされているもので、住宅地の上をトゲが目立つドラゴンが翼を広げ、旋回して去っていく様子が捉えられている。

 ところが、この動画はあまりにもドラゴンの動きが硬かったり、わざとらしかったりする点から、早々にCGで作られたフェイク動画であろうとみる動きが強まった。

 今回のロンチェンに出現したドラゴンとみられる生物の動画も、この英国のドラゴンと同様、CGで作成されたフェイク動画と見るのが正しいだろう。

 ただ今回のドラゴンは、羽ばたきがスムーズであったり、慣性が働いているところなどから、より生物らしさを再現したものとなっている。

 未確認生物を捉えた写真や動画の中にはフェイク動画ももちろん多いが、このようにリアリティーにこだわってくれる映像の場合は少しうれしくなるのも事実である。

 無論、可能であればフェイクなどではない、実際の生物を捉えたものであってほしいものなのだが…。