18世紀に描かれたこのイラスト見て皆さんは何を思うだろうか。

 これは「未確認生物」ではなく、神話や伝説で語られる架空の生き物や妖怪のたぐいだろう——と印象を受ける人が多いように思える。

 しかし、さまざまな疑わしい要素はあれど、この「タギュア・タギュア・ラグーン」はれっきとした生物、UMAなのである。なぜかというと、タギュア・タギュア・ラグーンはまだ映像どころか写真も普及していない時代に捕獲されたという記録が残されているからだ。

 時は1784年、チリの中央盆地にある首都・サンティアゴ。この都市にある農場で事件は起きた。奇怪な見た目の生物が出現し、作物を荒らして農家に大きな被害を与えたうえに、付近の動物を食べ尽くしたと言われているのだ。

 見た目だけでなく行動も怪物。物語で討伐されるモンスターのようである。住民も何の対策もしないわけもなく、100人を超える男たちが銃を持って応戦し、生け捕りにしたのだ。大掛かりな戦いを予感させる人数だが、本当に生け捕りにしたのであれば、人間とコミュニケーションが可能な知能を持っていたのかもしれない。

 生け捕りにされたために記録が詳細であり、それゆえ未確認生物として認識されている部分もあるのだ。しかしその特徴というのが…。

 体長は18メートル、足の長さが1・2メートル、その足から生えたカギヅメは足よりも長いというのだ。そして、体長の半分を占める尾は2本に分かれている。腕は翼のようになっていて飛行能力が推測できる。顔は人間のようであるが耳が3・6メートルあり、口がその耳元まで裂けている。

 いや、「見た目だけでなく行動も怪物」と書いたが、こうやってまとめてみると、人間が恐ろしい物を集めたかのような見た目であり、やはり外見がモンスターでしかない。鳥類、爬虫類、哺乳類が合わさったようなデザインだ。

 1784年といえば、日本では江戸時代の天明。将軍は家治のころである。漢委奴國王印が現在の福岡県で発見されたのもこのころだ。英国では産業革命が始まったころ。そのような時代のあまりに奇天烈な記録が本当なのか、何かを取り違えて尾ひれがついて広まったのか、まったくの創作なのか、検証の必要性を感じる。