1975年にオーストラリア東南に位置するニューサウスウェールズ州で巨大なトカゲが目撃された。東側の海に面したシドニーのやや北に位置するワタガン山脈でのこと。2人の農夫が車で道を走っていると、巨大な大木が道をふさいでいるではないか。進路の邪魔になるので、2人は車から降りて大木をどかそうとした。すると“それ”が動き出した!

 なんと巨大なトカゲだったのだ。

 道から首が出ていたため、顔は確認できなかったという。あまりの大きさに、そのトカゲは「ジャイアントモニター」と名付けられたのである。

 同年12月、同じくニューサウスウェールズ州の中東部にある、ワインの生産地として有名なセスノックでもジャイアントモニターは目撃された。農家の納屋の近くに現れ、この時に全長が9メートルもあることが判明した。

 体高1メートルほどという大きさで、体重は900キロくらいありそうだと、目撃者は語った。9メートルの爬虫類といえば恐竜にも匹敵する大きさであり、首と頭だけで1・5メートルという話にもうなずける。

 さらに同年、同じセスノックで体長7メートルのトカゲが目撃された。

 それからしばらくは目撃されなかったのだが、1979年にはやはりワタガン山脈で、爬虫類学者のフランク・ゴードンという人物が体長9メートルのトカゲを目撃したことから、実在の可能性が高いものとして広まったのだ。

 現在、最も大きな爬虫類として有名なものはインドネシアに生息するコモドオオトカゲで、だいたい2〜3メートルである。

 オーストラリアではペレンティというオオトカゲが最大で、大きな個体で2メートルに及ぶ。これがコモドオオトカゲが発見されるまでは世界最大種の爬虫類であった。

 しかし、9メートルどころか7メートルにも及ばないため、見間違えた可能性は低いと思われる。

 では、ジャイアントモニターの正体はなんなのだろうか。

 一説によるとそれは、古生物のメガラニアが生存しているのではないかとささやかれている。およそ4万年前のオーストラリアに生きていたオオトカゲで、史上最大のトカゲだったとされている。全長は5〜7メートルで肉食。これなら見間違える可能性もある。

 また、絶滅したのは約1万年前。オーストラリアに人類が渡ってきた時期にも生存していたため、アボリジニの間で巨大な怪物として語り継がれてきたのではないだろうか。

 メガラニアが生息していたころのオーストラリアと今のオーストラリアは環境が大きく違うため、目撃された巨大なトカゲがメガラニアである可能性は低いとも言われている。

 しかし、1990年代にはパプアニューギニアでも似たような生物が目撃されているのだ。何かしらの巨大な爬虫類が生息している可能性は否定しきれない。