米国中西部の最北に位置し、酪農で有名なのがウィスコンシン州だ。一人あたりのミルク生産量が全米で1位であり、乳牛の牧畜が盛んな地である。

 そんな同州には、ウシ型の怪物の都市伝説が広く知られている。

 その怪物の名前は「ホダッグ」。もともとは同州の森にある洞窟の中に生息していると言われているというか、そのような設定の生物だ。日本ではあまり有名でないかもしれないが、米国ではゲームやアニメ、コミックのキャラクターとして登場し、多くの子供たちに愛されたり嫌われたりしているのだ。

 多くのホダッグの体長は2メートル以上あるといわれ、なんといっても特徴的なのはウシのような大きな2本のツノだろう。背中にはトゲが連なり、口には鋭い牙、四肢には大きな鉤爪(かぎづめ)が生えている。尻尾だけはウシというよりも恐竜のような太さだと伝わっている。まるで絵に描いたような悪魔的な容姿の怪物だ。

 前述のようなゲームやアニメのキャラクターとしてのホダッグと違い、現実には攻撃的で力があったのではないかと予想ができる。

 そのホダッグを捕まえたとして、1893年ごろに米国の新聞に掲載されたものが今回の写真である。

 現地の人と思われる男性たちが、おのおの手にクワや斧とおぼしき武器を持って一体の生物を攻撃せんとしている。その攻撃対象となっている小さな生物がホダッグだというのだ。

 思っていたよりも、やや小さい。子供なのだろうか。ツノやトゲ、牙は凶悪そうであるが、どこかコミカルな感触があるのは否めない。ホダッグは四肢の関節がないという説もあり、そのため四肢が短いとも言われている。足が曲がらないため、木に寄りかかって眠るとも言われ、一度ホダッグを寝かせてしまえば起き上がれないのだ。どこか愛らしさが残る怪物である。それが広く親しまれる理由なのだろうか。

 しかし、この写真は残念ながら米国ではフェイクだという説が優勢である。ホダッグを捕まえようとしている人たちが集まりすぎている。本格的なハンターであれば確実に仕留めるために、威嚇をしないように少人数で行動するのが必然だ。

 もし、やじ馬だというのであれば、未知の凶暴そうな生物に皆がここまで接近しているというのはあまりに不自然だろう。そのため、ホダッグは精巧に作られた模造品であり、男性たちはエキストラで、トリック写真であるというのが一般的な見解のようだ。

 この写真を最後に目撃談はない。しかし、四肢の関節がないという点以外は不自然な生物でもないため、実在を主張する人たちもまだ多い。古代生物の生き残りの可能性は捨てきれない。皆に愛されるUMAだけに、その正体が判明した際には大きな話題となるだろう。

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