日本には古来「鬼」という存在、概念がある。頭部に角が生え、口からは牙が伸び、全身は赤や青や緑の色に染まり、金棒を持った体格のガッチリとした人型の怪物である。生物としてどのようなものなのか定義はさまざまだが、強く、恐ろしく、何か悪いものとして伝わっている。

 人間に対して鬼とたとえる場合は、人でなしという意味合いがほとんどであろう。西洋で言うところの「悪魔」のように負の概念を擬人化して、道徳や倫理を分かりやすく人々に伝えるためのひとつの手段でもあった。

 この鬼にもっとも近い未確認生物が発見された。それが今回のテーマである「バヒアビースト」だ。2007年、米国からブラジル・バイーア州に観光のために訪れた15歳の少女が、ポートセグロの川べりで謎の怪人型UMAの撮影に成功した。

 彼女は森林浴を楽しんでいたのだが、水辺に黒い何かが動いたのが見えたため、近くにあったカメラでとっさに撮影をした。そこには前述のような黒く、頭部に2本の角が生えた人型の生物が写っていた。

 膝から下が水面下に入っているため、正確な全身像は不明だが、推測するに成人男性程度の全長だろう。黒光りする肌に関しては、それが本当であれば日本で言うところの「黒鬼」に該当するのだろうが、付近の色に近いため、泥をかぶっている可能性も高い。

 この怪人の手には魚らしきものが抱えられていた。川辺にいるということは、捕獲したのか洗いにきたのかしたのだろう。

 また、赤ん坊を抱いているようにも見える。しかし、少女の気配に気が付いたのか、すぐに姿を消したと言われているため、何が目的だったのかはようとして分からない。

 この写真はインターネットにアップされると大きな話題を呼び、怪物を一目見ようと多くの観光客が訪れたが、再度目撃されたという話は聞かない。

 人型で猿人ではないUMAの存在は珍しく、続報に期待したい。何よりも頭部に生えた角というのは鬼を想起させる。日本人として、世界に鬼が分布しているのかは興味深いテーマである。