ベンチ裏も熱いMLB選抜

2014年11月17日 12時00分

「2014 SUZUKI日米野球」を取材していて、興味深い人間関係の構図がパッと目に入ってきた。MLBオールスターチーム(MLB選抜)の指揮を執る監督のジョン・ファレル(レッドソックス監督)と、ベンチコーチとして登録されたテリー・フランコーナ(インディアンス監督)である。12日、第1戦の試合前、京セラドームの三塁側ベンチで何やら大声で熱い議論を交わしていた2人。どことなく早口で言い合っているようにも見えたので「おや?」と思いながら近寄ってみると——こんなやりとりが聞こえてきた。

 フランコーナ「球数制限のことは、ちゃんと考えているのか」

 ファレル「当たり前のことを言うなよ」

 フランコーナ「キミもずいぶんと偉くなったな」

 ファレル「それはお互いさまだろう」

 これだけであれば「まさか内紛じゃあ…」と思ってしまいたくもなるが、それは不正解。その後は両者ともに時折白い歯をのぞかせたりもしていたので、どうやら単にトークが白熱し過ぎてしまっただけのようであった。

 それにしても、この光景を見てフッと脳裏をよぎったのは松坂大輔投手が西武からポスティングシステムを使ってレッドソックスに新加入した2007年シーズンの“日常的な光景”だ。当時チームの監督として絶対的な地位だったフランコーナのもとで投手コーチを任されていたのが、何を隠そうファレル。ブルペンでの投球数の制限など松坂の調整法についてフランコーナから、何かとあれやこれやと注文を付けられていたファレルがいつもウンザリしていたのが、まるで昨日のことのように思い起こされる。

 あれから7年、状況は大きく変わった。イ軍の監督としてフランコーナは昨季のMLBア・リーグ最優秀監督に選出。それに負けじと一方のファレルもレ軍を前々年のリーグ最下位からワールドシリーズ制覇へと導き、メジャー屈指の知将の仲間入りを果たした。メジャーリーグにおける両者の現在の立ち位置はほぼ“互角”と評していい。いや、しかも今大会に限って言えばMLB選抜の指揮をファレルが執り、そのもとでフランコーナはコーチ職に就いているのだから2007年とは立場が逆転している。

 フランコーナよりもファレルは3歳年下だが、もう負い目に感じる要素は何もないだろう。時代の流れを感じずにはいられないが、この2人は昔から今も何だかんだと切磋琢磨している関係と言えるのかもしれない。お互いにとっていい刺激となるライバルの存在は、やはりどんな世界においても必要。それをこの2人から、あらためて再認識させられたような気がする。

(運動部デスク・三島俊夫)