最近驚いたニュースの一つが、米国の伝説的テレビドラマ「ツイン・ピークス」の復活だ。デビッド・リンチ監督がメガホンをとり、2016年に新作が放送されるという。
「ツイン・ピークス」が放送終了したのは1991年。16年に放送予定の新作は、実に四半世紀ぶりということになる。
放送当時、記者もご他聞にもれず「ツイン・ピークス」にどっぷりハマった、いわゆる“ピーカー”だった。今回は、この作品にまつわるたわいのない思い出話だ。
新聞記者というのは、もちろん取材をするのが仕事。だが、これまでの記者人生において、取材するのではなく“取材された”ことが1度だけあった。場所は米国・ワシントン州のシアトル郊外にあるスノコルミー。記者に取材のカメラとマイクを向けたのは地元のテレビ局だ。
「ツイン・ピークス」の人気は日本でも異常なほどに過熱しており、JTBが作品のロケ地を巡るパッケージツアーを数回にわたって実施。まあ、今でいえばアニメの“聖地巡礼”のようなものか。その第1回ツアーに、恥ずかしながら記者は参加したのだった(ちなみに第2回には、あの高城剛氏が参加したらしい)。
作品の舞台となったスノコルミーは、「ツイン・ピークス」が放送されるまでは日本人観光客などめったに訪れないような田舎町。そこへ、日本からオタクなご一行様が押し寄せたのだから、地元のテレビ局としては格好のニュースネタだったのだろう。
インタビュアーは、まるで珍獣でも見るようなまなざしで、「こんな場所まではるばるやって来るとは、あなたはオタクなのか?」とか、「デビッド・リンチの難解なストーリーが日本人に理解できるのか?」など、けっこう失礼な質問ばかりぶつけてくる。印象としては、歓迎されているというよりもバカにされているような感じがした。
いつもは取材する側なのでいろいろと面食らったのだが、取材を受ける身になって初めて「人に話を聞くときはなるべく相手の感情を害さないようにしたほうがいいな」と、米国のリポーターを反面教師として学んだのだった。
何はともあれ、再来年の新作放送が楽しみだ。また当時のようなブームが日本でも巻き起こるのだろうか?
(文化部デスク・井上達也)
「ツイン・ピークス」ロケ地ツアーで味わった取材される側の“痛み”
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