スマイレージの追っかけファンはクールだった

2014年08月28日 12時00分

 先月、日本武道館での単独コンサートを成功させた、人気アイドルグループ「スマイレージ」。今回の裏話は、ちょうど4年前の2010年8月下旬、東京・お台場の「東京ジョイポリス」で行われたイベントに、彼女たちが出演したときのエピソードだ。

 このイベントはセガのニンテンドーDS用ゲームソフト「リルぷりっDSひめチェン!アップルピンク」発売記念として開催されたもので、記者はゲーム記事などを担当していた関係から取材に訪れたのだった。

「リルぷりっ」というのは、当時テレビで放送されていた女の子向けアニメで、スマイレージはメンバー中の3人が主役キャラクターの“声優”として出演していた。ゲームでも同様で、さらには“リルぷりっ”名義で主題歌CDも担当。スマイレージはこの年の5月にメジャーデビューしているので、本隊と並行しながらの別ユニット活動というわけだ。

 この日のイベントステージでは、コスチュームまでリルぷりっに成り切った3人が、トークと歌を披露。絶賛売り出し中のアイドルなのにもかかわらず、最後までスマイレージの「ス」の字も出さない徹底ぶりにはちょっぴり感心した。

 ところが、それよりももっと感心したのは、スマイレージのメンバーにではなく、彼女たちの応援に駆けつけた追っかけのファンたちのことだ。

 スマイレージとしてのデビュー曲がオリコンでも上位にランクインしたから、当然、既にかなりのファンがついている。当日もゲームのイベントとはいえ、明らかにスマイレージの熱狂的ファンとおぼしき若者たちが、ステージ前を陣取っていた。まあ、アイドルが出演するイベントではよくある光景である。

 えっ?と思ったのは、イベントが始まる直前のこと。ファンの一人が「みんな、前の方の席は子供たちのために空けてあげて!」と声を掛けると、ファンの一団が一斉に後方へと退いたのだ。

 確かに、アニメやゲームの性格上、このイベントには小さな子供を連れた家族連れもけっこう来場していた。アイドルのファンというのは誰もが少しでも“前へ前へ”と行きたがるものと思い込んでいたのだが、いやいやどうして、ちゃんと周りを見て配慮できているではないか。どうやらスマイレージにはマナーの良いファンがついていたようだ。

 このときに記者は、アイドルの追っかけファンに対する“偏見”が少し変わったのだった。

(文化部デスク・井上達也)