アサヒビールのイメージガールといえば、初代の山口智子をはじめとして伊東美咲、井川遥、かとうれいこなど、過去にそうそうたる顔ぶれのタレントや女優を輩出してきた。その中でもトップクラスの“大物”に出世したのが、1994年に8代目イメージガールを務めた藤原紀香(43)だろう。先月まで放送されていたドラマ「アリスの棘」でも、教授の座を狙う野心的な外科医の役を存在感たっぷりに演じていた。

 今回は、今からちょうど20年前、紀香がアサヒビールの商品キャンペーンのために東スポを訪れたときの話だ。

 通常はキャンペーンガールの来社となると、それほどのビッグネームタレントでなくとも、本人以外に所属事務所のマネジャー、スタイリスト、広告代理店の担当者など“団体さん”でやってくることがほとんど。しかし、このときの紀香は、メーカーの広報担当者とたった2人だけでやって来たのだ。

 もちろん、まだ無名時代だから、というわけではない。その時点で、抜群のプロポーションと華やかな美貌には世間の注目が集まっていた。にもかかわらず2人だけの来社というフットワークの軽さには、取材するこちらも驚いたほどだった。

 写真撮影のあとで、商品PRのためのコメント取材、という段になったのだが、あいにく社内の会議室や応接スペースが埋まっており、腰を据えて話を聞く場所がない。立ち話ではあんまりだ、ということで、ビル内にある社員食堂スペースへ移動。そこで紀香と広報、そして記者の3人でテーブルを囲み、無料給湯器の薄いお茶を飲みながら、なんだかまったりとした雰囲気で話を聞いたのだった。

 本格的なブレーク前とはいえど、当時すでにゴージャスなムードと華やかなオーラをまとった紀香と、殺風景な食堂&薄いお茶は、あまりにもミスマッチ。それでも嫌な顔ひとつせず、こちらの取材に丁寧に付き合ってくれた紀香の対応は、今でも鮮烈に覚えている。

 もし現在の藤原紀香が東スポにやって来ることがあったら、また給湯器のお茶でも笑顔で飲んでくれるだろうか?

(特集部デスク・井上達也)