25日早朝は日本中の人がため息をついただろう。サッカーW杯ブラジル大会で日本代表は1勝もできずに1次リーグ敗退。史上最強と言われていたザックジャパンがあっさりと敗れてしまったのは本当に残念の一言だ。まさかの結果に落胆しているのはもちろんだが、それとは別に私は今大会で、あるシーンを見ながら思わずため息を漏らし続けている。

 プレーについてではない。それぞれの国の代表イレブンが試合後、お互いに健闘をたたえ合ってユニホーム交換を行う場面だ。ユニホームを脱いだ各選手たちの上半身があらわになり、シックスパックの形にクッキリと割れた腹筋を見るたびに「それに比べてオレのカラダはなあ…」とガックリしてしまうのである。

 現在40歳オーバー。そんな普通のオッサンが現役代表クラスの面々のような肉体美を誇れるわけがないのだが、これでもひと昔前まではそれなりに鍛えてボディーバランスに自信があるつもりだった。ところが最近は定期的に行っていた筋力トレーニングもおろそかになってしまい、おなかもポヨ〜ン。いやはや、情けない限りだ。

 そういえば以前、現役時代の工藤公康さん(現野球評論家)から腹筋についてアドバイスをもらったことがある。2006年6月、巨人時代の工藤さんが43歳の誕生日を迎えた翌月に「どうして工藤さんは、ここまで現役を続けられるのですか」と至ってシンプルな質問をぶつけた時だった。ニヤリとしながら「いいことを1つ教えてやろうか」と言った工藤さんは、こう続けた。

「腹筋だよ。オレはヒマさえあれば、テレビ見ながらでも“えっほ、えっほ”と言いながら腹筋を鍛えてる。ジムなんか行かなくたって、その場で簡単にできるじゃん。腹筋っていうのは何もしないとどんどん衰えていく。これはスポーツ選手だけじゃなく、誰にでも大切なことだから今のうちからやっておいたほうがいいぞ。継続は力なりって言うからな、頑張ってやってみろよ」

 素晴らしい——。そう感嘆すると、それからしばらくは懸命に“工藤さんの教え”を守って腹筋を鍛えまくる日々が続いていた。だが、つい甘えが生じて気を緩ませてしまうのが凡人だ。いつしか面倒になり始め、だんだんとペースダウン。気が付くとパッタリやめてしまっていた。その結果が現在の腰痛再発を招き、ぜい肉たっぶりのおなかをつくり出してしまったのだ。

 よし、明日から“工藤さんの教え”をもう一度やり続けるぞ。そう思っても、やっぱり「今日はいいや、また明日」となってしまう。テレビ画面越しにW杯戦士たちをうらやむ日々は、決勝戦まで続くことになりそうだ。

(運動部デスク・三島俊夫)