20年前ブラジル人コーチがサッカー日本代表に送った驚きのアドバイス

2014年05月08日 12時00分

 ブラジルW杯開催まであと1か月余りとなった。でも準備は万端かというと、そうでもないらしい。4月末の時点で未完成のスタジアムがいくつかあるとのニュースが流れている。本当に開催できるのか? まあ、ブラジルらしいといえば、ブラジルらしい。良く言えば、のんびりしていて大らか。悪く言えば大ざっぱで時間にルーズ——というのが大方の日本人のブラジル人に対するイメージだろう。

 確かにJリーグでは二日酔いでしばしば練習を休む監督もいたし、夜、選手では羽目を外すブラジル人がいたのは確かだ。しかし、対照的に日本人以上に生真面目できちょうめんなブラジル人も多かった。元日本代表監督のジーコはその典型だし、同じく元日本代表監督のファルカン氏は神経質と言っていいくらい細かかった。でも、極めつけは、ファルカン監督時代のフィジカルコーチ、ジルベルト・チン氏だろう。

 このコーチはとにかく選手を徹底的に管理した。健康状態や栄養状態をデータ化し、睡眠時間や食生活にまで口を挟んだ。当時としては画期的だった。しかし、あまりの細かさに代表選手たちも「フィジカルコーチがなんで?」とうんざりしていた。

 確かにこの人のやり方はフィジカルコーチの枠を超えていると思ったので、直接本人に聞いてみた。すると「日本の選手はあまりに自己管理ができていない。きちんとした生活をするところから始めないといけない」とまるで学校の先生のような物言いだった。そこで「選手が今しなければならないことは何か」と尋ねた。すると予想外の答えが返ってきた。「とりあえず、ものをよくかんで食べることだ」。日本の選手のプロ意識が低いのは言われていたが、いくらなんでもそこから?と目が点になった。

 とはいえ、今思えば当時の選手の自己管理は「小学生並み」だったかもしれない。多くの選手が夜更かしをして、コンビニ食で済ますということを日常にしていたのだ。

 残念ながら、チン・コーチの思いは伝わらなかったようだ。彼はその病的な細かさで嫌われ者のままファルカン氏とともに日本を去った。

 20年前、日本のW杯出場がまだ夢だったころの話である。

(特集部部長・原口典彰)