東スポWeb読者もきっとお世話になっているであろうAVのジャンルに、「元芸能人」なるシロモノがある。最近では元グラドル・小向美奈子(28)が代表例だと思うが、「憧れの○○○○があんなことや、こんなことも!」という内容がマニア心をくすぐるのだろう。小向の作品はDVDのセールスが落ちている時代にもかかわらず、10万枚を超える大ヒットを記録したという。

 つい先日までかなり売れているアイドルでも、気がついたらAV女優として再デビュー…という事態に直面してもおかしくない——。実は3年前までは記者もまるで人ごとのようにこう考えていたものだ。ところが、ごく身近でこの事態に直面したのである。

 いきさつをごく大ざっぱに説明すると…。10年ほど前、その時点で将来有望(だと思われる)女性タレントを紹介するコーナーがあり、毎週必ず1人は取り上げることになっていた。記者の場合は日ごろお世話になっている複数の芸能事務所に「いいコがいたら、ヨロシクね」と声をかけて、応じてくれたタレントを最優先で取り上げるようにしていた。

 つまり、売り込みなのだが、もちろん誰でもOKだったわけではない。あくまで信頼の置ける事務所が「一押しです」と売り込んできたタレントに限っていた。そんなタレントの一人がA・Mだった。A・Mを推薦してきたのは、中堅事務所。担当マネジャー氏は大手事務所でもらつ腕を振るっていたことのある誠実な人物だったので、すかさず「超人気のアイドルグループ○ー○○○○のオーディションに合格していた(結局、両親が認めず辞退していたのだが)A・Mが正式デビュー!」なる内容の記事を書いた。

 それから1か月後のこと。律義な担当マネジャー氏から「おかげさまでA・Mのレギュラー番組が決まりました。ついては食事でもどうですか」と誘いがあり、同氏とA・M、そして記者の三者で会食をした。そのときは、初のレギュラー番組にかける意気込みを方言(当時は珍しかった)を交えて語っていて、ほほ笑ましい気持ちで見ていた。

 それから2年近くたったときのことだったと思う。くだんのマネジャー氏とのプライベートでの酒席で、記者が「そういえばA・Mはどうしています?」と聞いた直後、同氏はちょっと困ったような表情で「それがA・Mは自分で新しい事務所と交渉してしまい、すでに弊社は辞めたんです」と明かした。

 さらに、それから6年後の一昨年のことだ。A・Mの存在をすっかり忘れていたタイミングで、本紙担当者宛てのAVメーカーからのニュースリリース「あの○○のオーディションに合格していたA・MがAVデビュー!」が目に飛び込んできた! 仰天した記者は即座に元マネジャー氏に連絡した。

「あのA・MがAVデビューしますよ!」。ちなみに、A・Mという芸名は同氏がつけたものだ。「えっ、ええっ!」と言ったきり、同氏は絶句。同氏と記者の2人でサンプルDVDをすり切れるほど見たことは、言うまでもないだろう。

(特集部デスク・山下賢次)