メッセージ

2014年01月13日 12時00分

 お正月の楽しみの一つに年賀状のチェックがある。以前に比べて枚数は減ったが、今年も自宅と会社宛てに180枚ほど送られてきた。疎遠になっている旧友の子供の写真や近況報告に微笑んだり、同業他社の記者やデスクの愚痴にうなずいたり…。差出人の名前に、前年の賀状にはなかった球団名が併記されていたりすると、我がことのようにホッとしたりする。

 そんな賀状の中で、読むと必ず身の引き締まる思いになるものが1通ある。現在はソフトバンクの球団会長を務められている王貞治さんからのものだ。今年は印刷されたあいさつ文の脇に、流麗でいて力強い文字で「ごぶさたしています お元気のことと思います がんばります」と、つづられていた。

 20年ほど前、ダイエー担当をしていた際に「監督は何枚ぐらい年賀状を書くんですか?」と聞いたところ「2000枚ぐらいかな」との答えが返ってきた。枚数だけでも相当なものだが、王さんはその一枚一枚にメッセージを添える。最近でこそ宛名は印刷になったが、かつてはそれさえも直筆だった。

 小学生時代、王さんは憧れの存在だった。特に巨人ファンというわけではなかったが、王さんだけは別格。二段ベッドの上段でグッと近づいた天井には、数枚のピンクレディーのブロマイドとともに、後楽園球場でフェラーリ512BBの横で一本足打法を披露する王さんのポスターを張っていたほどだった。

 いくら社会人になってから番記者と監督という接点ができたとはいえ、今でも「憧れの人」であることに変わりはない。年賀状が送られてくるだけでも光栄なのに、直筆メッセージまで…。喜びと同時に、ささいなことを面倒臭がる自分が、いかにつまらない人間か思い知らされる。

 昨年7月26日の楽天戦で田中将大から19号ソロを放って日米通算2000安打を達成したロッテの井口資仁は、王さんからの年賀状に添えられていた「名球会で待ってます」とのメッセージが発奮材料になったという。選手であろうと記者であろうと、王さんから学ぶことは多い。

(運動部デスク・礒崎圭介)