日本シリーズ第1戦で巨人に完封負けした楽天の星野仙一監督は「田中でも0点じゃ勝てない」とコメントし、打線の奮起を促した。確かにそうである。田中将大はレギュラーシーズンで前人未到の開幕24連勝をマークしたが、まったく失点を許さなかったわけではない(防御率1・27)し、勝ち負けやセーブがつかなかったケースも3試合あった。

 闘将の言うように、いくら超一流の投手であっても、味方打線の援護なしに「勝ち投手」となることはない。あくまで個人的見解ではあるが、田中が本当の意味ですごいのは、24回勝ち投手になったことではなく、先発した27試合すべてでチームを勝利に導きえる投球をしたことだと思っている。

「プロとしてやっている以上は、コンスタントに結果を残さないといけませんからね」。そう話したのは、飲んだ帰りに乗車したタクシーの運転手さんだった。話の面白そうな人だったので、グイグイと取材を進めていくと「運転手の取り分は売り上げの6割3分程度」であることや「いかに固定客をキープするかが、コンスタントに稼ぐためのポイント」といったイマドキ運転手事情を明かしてくれた。

 固定客の確保には、マメな営業活動も欠かせないという。スナックやクラブのママさんに遠距離の客を優先的に紹介してもらう代わりに、売り上げの一部をキャッシュバックしたり、店に客として出向いて還元することも珍しくないそうだ。

「私の知り合いの運転手には、すごい男がいましてね」。そう言って、運転手さんは暴露話を続けた。「複数のソープ嬢を顧客に抱えていて、月に一度は客の女性の店に遊びに行くっていうんですよ」

 理屈は分かる。ただ、スナックに飲みに行くのとはワケが違う。「一度きりで終わるならまだしも、店で抱いた後も今までどおり客として乗せるなんてねえ…」。しばし沈黙が続いた後、ベテラン運転手と二人で「…できませんよねえ〜」とハモってしまった。

(運動部デスク・礒崎圭介)