松田優作さんが愛した“ちゃんぽん”

2018年05月28日 17時03分

 3月から下関で生活している。下関市内にある九州スポーツ編集局でデスク業務に就き、3か月間ほど単身赴任することになったからだ。入社して間もなく九スポの編集局報道部に配属が決まり、7か月間ほど下関に住んだことがあったが、それも23年近く前の話。あのころは初めて経験する地方での一人暮らしで右も左も分からず、しかも社会人になりたての“ルーキー”で全くといっていいほど、日々余裕がなかった。

 しかしさすがに今は年齢を重ね、少々ながら周りにも目を配れるようになってきた。そういう背景もあって、約23年ぶりに生活中の下関の地はとても新鮮に映っている。

 取れたての新鮮な海の幸がずらりと揃う唐戸市場や、歴史の深い赤間神宮、関門橋を歩いて渡れる人道トンネル、そしてクルマのCMや映画の撮影スポットとしても有名な角島大橋など…。ここに記し切れないほど下関の名所は数多い。あらためて「こんなに魅力的な場所だったのか」と感慨深い気持ちになった。

 つい先日も、一部マニアの間では有名な下関のちゃんぽん屋さんに行く機会があった。場所は下関西口近く。1947年創業の「大黒屋」というお店だ。遊郭が軒を揃える風俗街のど真ん中を歩いていると突然、昭和20年代をほうふつさせるようなノスタルジック感の漂う店構えが現れる。実はこの「大黒屋」こそ、下関が生んだ人気名優・故松田優作さんがこよなく愛したちゃんぽんを提供してくれる名店なのだ。生前、松田さんが帰省した際には必ずこの店に立ち寄って「ちゃんぽん」を注文し、おいしそうにすすっていたという。

 かなり年季の入ったのれんをくぐると、女将さんが1人で切り盛りしていた。いろいろメニューが書いてあったが、事情があって「ちゃんぽん」と「支那そば」しか用意できないらしい。早速、580円の「ちゃんぽん」を注文した。しょうゆをベースにした和風仕立てでモヤシがふんだんに盛り込まれており、かまぼこや豚肉、ネギ、卵焼き、ちくわなどの具材もボリュームたっぷり入っていて、中太麺もしっかりとコシがある。この値段でこれだけの量と味が堪能できるのだから、松田さんがほれ込んだのも納得できるというものだ。

 レトロな店内に飾られた松田さんのサインを眺めながら舌鼓を打てば、ここでは表現できないような何か不思議な気分になれることは請け合い。ぜひ、下関に行く機会があったら“隠れた名所”を訪れ、ちゃんぽんを味わってみてほしい。

(運動部デスク・三島俊夫)