「成田コレクション」という言葉をご存じだろうか。海外でプレーしている選手が帰国した際に成田空港で周囲の度肝を抜くような奇抜な(?)ファッションを披露することから日本サッカー界で呼ばれ始めたネーミングだ。

 その元祖はMF中田英寿氏。日本代表の「絶対エース」として君臨した名選手だが、メディア嫌いで知られており、シーズンオフや代表招集のため帰国した際、大勢の報道陣に囲まれながら矢継ぎ早に質問を浴びせられても表情一つ変えずに“無視”し、正面を見据えたまま迎えの車に乗り込むのが恒例となっていた。それでも各メディアが毎回駆けつけるのは、その服装をチェックするためだ。

 あるときは地面まで届くマフラーを身に着けて登場したり、ポンチョのようなマントを羽織ってロビーに姿を見せたこともある。また、高級メーカー「ルイ・ヴィトン」の最新作(日本未発売)で全身をコーディネートし、なぜか片袖だけがないチェックのシャツを華麗に着こなし、足元だけが雪駄というアンバランスなファッションでメディアの前に現れることもあった。しかも関係者によると、飛行機から降りる前、中田氏はわざわざ奇抜な服に着替えていたという。

 もともとサッカー界のファッションリーダーといえば、51歳になったキング・カズこと元日本代表FW三浦知良(J2横浜FC)。1993年度のJリーグ年間表彰式では真っ赤なスーツで風船の中から登場し、その地位を確固たるものにした。その系譜を継いだ中田氏は空港で自慢のファッションをアピール。サッカー以外でもファンを楽しませた。

 さらに2010年南アフリカW杯を契機に「日本のエース」と呼ばれたFW本田圭佑(31=パチューカ)が“成コレ”を引き継いだ。両手に腕時計をする独特のセンスで知られているが、当初はいかついサングラスに真っ白なスーツでメディアの前に現れるなど、中田氏の後継者として存在感を示していた。

 しかし最近は日本代表でのパフォーマンスの低下とともに、サッカー界のファッションリーダーとしての地位も低下。3日に帰国した際は淡いピンク色のスーツで到着ロビーに登場。オシャレではあるものの、メディアやファンを驚かすような服装ではなかった。ロシアW杯に向けて、いまひとつ盛り上がりに欠けるといわれている中、ピッチ外の面でもっと注目されて、ファン、サポーター以外の関心を高めなければ、サッカーはもちろん、日本代表の人気復活は難しいだろう。

 日本代表はバヒド・ハリルホジッチ監督が解任されて、西野朗監督が就任した。本田もW杯に向けて復権が期待されている中、ピッチ外でも話題を提供してほしいところだ。

(運動部デスク・三浦憲太郎)