【デスク発ウラ話】在庫一掃処分か、それとも?

2020年04月09日 12時00分

 毎年3月21日は”ナイアガラの日”なのだそうだ。ナイアガラというのは大滝詠一さんの個人レーベルで、3月21日に発売された作品が多いことからそう呼ばれている。

 過去の代表作「A LONG VACATION」や「EACH TIME」も3月21日発売だったが、2013年に大滝さんが死去した後も、毎年この日には必ず関連作品が登場している。

 そして今年のナイアガラの日には、デビュー50周年記念と銘打たれた“新作”の「Happy Ending」が発売され、オリコンのウイークリーアルバムランキングでも6位にチャートインした。

 2016年発売の「DEBUT AGAIN」もそうだったが、没後の新作というのは当然ながら生前にレコーディングされていた未発表音源をまとめたものになる。この「Happy Ending」は主としてテレビドラマ用のセッションでの素材で構成されている。

 こうしてコンスタントに発掘音源が世に出るのは、それだけニーズがあるということで、ファンとしても喜ばしいことは間違いない。が、今回のアルバムはちょっとだけ心配になる内容ともいえる。というのは、全11曲中、5曲が歌のないインストかスキャット程度のコーラスが入ったもの。また、大ヒット曲「幸せな結末」の別バージョンなど、シングルで発売済みの曲のミックス違いも3曲含まれている。つまり、純然たる“新曲”と呼べそうなのは、残りの3曲だけなのだ。

 つまり、何が心配なのかというと「もう未発表曲はほとんど残っていないのではないか」ということ。今回も、なんとか工夫してフルアルバムサイズに仕立て上げた“在庫一掃処分”という感じがしてしまうのである。あるとすれば、1981年に行われた伝説の「ヘッドホンコンサート」(観客全員にヘッドホンを着用して演奏を聴かせたというもの)などのライブ音源か。

 ちなみに「Happy Ending」のCDには、さりげなく1枚のチラシが封入されていた。そこには21年3月21日の「A Long Vacation」40周年アニバーサリー告知が。日本のポップス史上にさんぜんと輝く名盤”ロンバケ”は、20周年、30周年と節目のたびに拡大盤が発売されてきたが、40周年用にまだ切り札が残されているのいうのか(もしやここで満を持してのヘッドホンコンサート?)。

 とりあえずは次のナイアガラの日も何かサプライズが用意されていそうである。大滝さんのレジェンドはまだまだ終わりそうもない。

(文化部デスク・井上達也)