キャリーケースと歩きスマホ

2017年09月25日 12時00分

 最近、日常的にキャリーケースを使う人が増えている。ひと昔前まではスーツケースなど大型タイプのものが主に旅行や出張に行く時ぐらいしか利用されていなかったが、今は小型化された種類も出回るようになって方々で見かけるようになった。かくいう自分もキャリーケース派だ。3年ぐらい前に購入して以来、仕事の日はどこへ行くにもほぼ毎回のように使っている。

 しかもラクチン。ただ引くだけで、忠実な飼い犬のようにしっかりついて来てくれる。だから、私のような腰痛持ちにとっても身体的な負担が少なく非常に使い勝手がいい。

 ところが、このキャリーケースを巡ってはちまたでトラブルも頻発しているそうだ。キャリーケースが周囲の歩行者と接触するなどして最悪の場合、ケガを負わせてしまうケースまで発生しているという。

 実はつい先日、自分もちょっとした“トラブル未遂”を起こしかけてしまった。仕事帰りに都内のある駅で自分の引いていたキャリーケースのキャスター部分が歩行者の足を踏みつけてしまったのである。

「痛っ!」という声が後ろから聞こえてきたので、ハッとしながら振り向くと20代ぐらいのスーツ姿の男性が苦悶に満ちた表情を浮かべていた。

「すみません、大丈夫ですか」

 頭を下げた私に、その男性もナゼか「いや、こちらのほうこそすみません」。どうやら、その男性はスマホを見ながら歩いていたらしく、周囲をよく見ていなかったとのことだった。

 自分さえ、良ければいい——。どんどん便利な世の中になっていく半面、周囲への配慮ができなくなっている人たちが増えているような気がする。思えば「歩きスマホ」や「ながらスマホ」、そしてキャリーケースによる事故やトラブルはこうした風潮が絡み合い、起こるべくして起こっているように思えてならない。「譲り合い」が美徳とされていた昭和の時代では、きっとあり得なかったことだ。それまで、ただラクチンだからと何も考えずに“ガラガラ”と音を立てながら、周りもロクに見ないでキャリーケースを使っていた自分が何だかとても恥ずかしくなった。

 これからはキャリーケースもスマホも“自己中”にならず、マナーを守りながら使っていこうと心に決めた。

(運動部デスク・三島俊夫)