【デスク発ウラ話】東京の最先端スポットの“混沌”

2019年12月12日 12時00分

 11月22日にリニューアルオープンしたばかりの「渋谷パルコ」へ先日、行ってきた。ニューヨークでオシャレな仕事をしている友達が、東京の最先端スポットを見たいらしく、その付き合いで。

 東京で生まれ育ち50年近くになるが、パルコとは縁がなく、ほとんど行ったことはない。ただ、ジャパンカルチャーの発信地・渋谷に新しく建ったファッションビルが、どれほど未来を見据えた造りで、どんな品揃えかは興味があった。

 友達は普段、スーパーモデルやハリウッド女優を使ってファッション広告を撮っているだけに、トレンドにはうるさい。そんな彼だが、パルコの外観を見て「斬新だね」と褒めた。

 ちょうどブラックフライデー(11月29日)の夕方とあって、人でごった返していた。正面入り口から中へ入り、そのままエスカレーターで上の階へ。と、その時、ヘンなにおいが鼻をつき、友達と「何?このニオイ」と顔を見合わせた。

 明らかに、新しいビルのにおいではない。内装工事で使う塗料など、化学物質的なにおいとは違う。例えるなら、デパ地下の食料品売り場のような“おかずのニオイ”だ。2階、3階とエスカレーターで上へ行くにつれ、多少は薄れるが、まだにおう。さすがにそれより上のフロアではしなかったが。

 私は嗅覚が鋭く、友達もにおいにはこだわりがあってキャンドルや香水のブランディングも手掛ける。上の階をひと通り見て、また下へ行くと、2階エレベーター脇にいい香りの店を見つけ、足を止めた。イタリア・フィレンツェで800年の歴史を誇る世界最古の薬局だ。店頭に並ぶ高級香水を嗅ぎ比べていると、例のあのニオイがまた漂ってきた。これじゃこの店もかわいそう。

 1階は、客の出入りで外から空気が絶えず流れ込むため、さほどにおわない。じゃあ異臭はどこから? と思ったら、地下1階が飲食店街になっているではないか。エスカレーターで下りると、案の定、いろんな飲食店の“おかずのニオイ”が立ち込めていた。この地下食堂街はその名も「カオスキッチン」。まさに混沌としたニオイが、エスカレーター伝いに上へ上へと押し寄せていたのだ。

 もちろん食堂街の混み具合、その日の天候や温度、湿度などによってニオイの強弱は変わるだろうが、我々が訪れた金曜の夕飯時はニオイがMAXだったかもしれない。

 パルコに入って1階だけ下りて地下食があるなら、パパっと食事したいお客には便利。でも上のフロアに洋服を買いに来たお客にとって、あのニオイはいかがなものか。個人的に買い物は、できれば無臭か、いい香りのするところでしたい。

 ただ、施設のプランニング担当者がネットのインタビュー記事で言うには、渋谷パルコのコンセプトを最も象徴しているのがこの地下食で、目指すは新宿ゴールデン街やニュー新橋ビルのようなゴッタ煮感なんだそう。

 この渋谷パルコのニオイ問題、若者の間でもさぞ話題でバズってるのではとツイッターをチェックしてみたが、なんと、誰もつぶやいていない。たばこのニオイには結構敏感な若者が近年多いように思うが、あのおかずのニオイは気にならないのか。ホント不思議だ。

(文化部デスク・醍醐竜一)

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