【デスク発ウラ話】誠実に取材に向き合ってくれた“甲子園名物”竹中さん

2019年12月09日 12時00分

 10月16日に間質性肺炎のために死去した日本高野連の竹中雅彦前事務局長(享年64)のお別れ会が12月1日、大阪市内で開かれた。日本ハムの栗山英樹監督、小久保裕紀氏、大阪桐蔭・西谷浩一監督ら多くの野球関係者が参列し、故人の冥福を祈った。

 記者も献花をさせていただいた。高校野球の取材で「高野連側」といえばスポークスマンは事務局長の竹中さんであり、世間に対して常に矢面に立っていた。温厚な人柄で豪快に笑い、声のトーンが大きいのでヒソヒソ話ができない。単独取材が周囲に丸聞こえになってしまうこともしばしばだったが、あの昔ながらの関西弁と人懐こい笑顔は、報道陣にとっても“甲子園名物”だったに違いない。

 大会運営ではタイブレーク制や休養日の導入、熱中症対策、球数制限など選手の健康面を考えた対策に取り組み、リーダーシップを発揮。高校野球発展に尽力したが、一方で批判の矢面に立たされることも多かった。古い体質と言われ、女子マネの練習参加、球数問題、暑さ対策、不祥事への対応など、「一般的な常識とかけ離れている」「旧時代的だ」と指摘されることも少なくなかった。竹中さんはそのたびに報道陣に丁寧な説明を繰り返し、組織の理念を尊重しながらも柔軟に立ち回って「時代に順応していく組織」であろうとしていた。高野連は決して旧態依然ではない、いいものは取り入れていくんだと…。対世間との“潤滑油的な役割”も果たしていたと思う。

 本紙も竹中さんの取材となると、その「一般常識とのギャップ」のことばかり。毎年、夏に指摘される猛暑の問題にしても「京セラ開催にできないのか」「犠牲者が出てからでは遅い」などと厳しい問いかけを何度もさせてもらったが、竹中さんは「じゃあ、いつ開催するのかという話。ドームがどうや、と言われますけど、それで球児が納得するのか。甲子園が球児の聖地なんです」ときっぱり。なくならないサイン盗み事案には頭を抱えながら「フェアプレーの精神を口をすっぱくして言い続けるしかない。サインを複雑にしたら試合時間が長くなるし…難しいですわ」と正直にこぼしていた。

 ほかにも野球部員が起こす不祥事、日韓摩擦がU―18ワールドカップに及ぼす不安など、高野連側からすれば耳の痛いことばかりを竹中さんに向け、何度もインタビュー記事にさせてもらった。さすがに怒られるかもしれない…と不安なこともあったが、翌日になるとまたあの笑顔で「えらい、有名にしていただきまして!」とガハハ…。まるで大きく包み込まれているようだった。

 どんな事案にも逃げ隠れすることなく、誠実に取材に向き合ってくれた竹中さん。我々東スポ記者も感謝の思いしかない。本当にお世話になりました。合掌。

(運動部編集委員・西山俊彦)

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