【デスク発ウラ話】丸山桂里奈を聖火リレー最初のランナー候補に!

2019年11月25日 12時00分

 先日、来年の東京五輪の国内聖火リレーの最初のランナーに、2011年サッカー女子W杯ドイツ大会で初優勝を飾ったなでしこジャパンのメンバーが候補に挙がっていると報じられた。東日本大震災から4か月後に快挙を成し遂げ、国民に元気を与えたことは、今でも鮮明に覚えている人も多いはず。東京五輪は「復興五輪」と位置付けており、その聖火リレーのスタート時点は福島県のJヴィレッジ。当時のなでしこのメンバーが大役を任されるのは喜ばしいことだ。

 当時のチームの主将は女子サッカーのレジェンド、澤穂希さん。聖火リレーの先陣を切るのにふさわしい人物だ。ただ、今回の候補者は澤さん個人ではなく「なでしこジャパンのメンバー」というざっくりしたもの。ならば、そこにぜひ丸山桂里奈を加えていただきたいと思う。

 16年シーズンを最後に現役を引退した丸山は芸能界入りしてから大ブレーク。もはや誰のためだかわからないような暴露話に始まり、国民栄誉賞受賞者とは思えないぶっ壊れっぷりで、バラエティー番組などで引っ張りだことなっている。ただ、その言動が目に余ることもあってか、一部のサッカー関係者からは「恥ずかしいからもうやめてほしい」とまで言われるほどだ。

 確かに、オフサイドのルールを知らなかった、など丸山のおバカエピソードは事欠かない。最近はなでしこでの栄光が完全にかすんでしまっている感も強いが、世界制覇のポイントとなった準々決勝ドイツ戦での決勝ゴールは、日本サッカー界の歴史を大きく変えた一撃。おバカなイメージの一方で、実は幅広いサッカー観と鋭い視点の持ち主でもある。10年近くなでしこジャパンの取材をしてきたが、丸山の言葉でチームの現状や課題を知ることも少なくなかった。

 元東京電力社員としてサッカーをしていた丸山にとって、東日本大震災は大きな悲しみを生んだ。社員時代の上司で福島第一原発所長の吉田昌郎さんは原発事故の復旧作業に追われ、W杯優勝から2年後の13年にがんで亡くなった。サッカーの活動拠点だったJヴィレッジは復旧作業の前線基地となり、グラウンドは駐車場と化した。もともと福島愛が強い選手だっただけに、Jヴィレッジと福島の復興を誰よりも願っていた。

 W杯優勝後、ふとした時に震災の話をしたことがある。かなりデリケートな話なので、あえて当方はその話題を避けていたが、丸山は胸の内を明かしてくれた。

「東電がどうのこうのという話は別にして、お世話になっていた町があんな状態になっていることが悲しすぎる。復興には時間がかかるかもしれないけど、私はあきらめません。私に何ができるかはわからない。また福島でサッカーができるようになる日を待っています。あ~、まじめな話、しちゃいましたね」

 普段は報道陣とたわいもない話をすることが多かった丸山だけに、ピッチでも見せないような真剣な表情での告白に、思わず引き込まれたことは今も覚えている。そんな丸山だからこそ、ぜひ福島での聖火リレーで走ってもらいたい。最近の丸山を見て、彼女が走ることに批判の声は多いかもしれない。だが、彼女こそ、その場に立つにふさわしい人物だとも思っている。

(運動部デスク・瀬谷 宏)