先日、千葉・幕張メッセで開催された「第29回東京ゲームショウ2019」に行ってきた。10年ぐらい前までは毎年取材していたのだが、ここしばらくごぶさただったので、本当に久しぶりのゲームショウだった。

 ご存じのように、東京ゲームショウはコンピューターゲームなどの総合展示会で、1996年に第1回が開催された。その第1回を取材したときの鮮烈な記憶が、今回幕張メッセに足を運ばせることになった理由だ。

 どういうことかというと、今年のゲームショウではセガが12月に発売するPS4用の新作ソフト「新サクラ大戦」が出展されていたからだ。実はこのサクラ大戦シリーズ、1作目がお目見えしたのが96年の第1回東京ゲームショウ。当時、会場でこの作品を目にしたときには、何か今までにない画期的なエンターテインメントが登場したような衝撃を受けた。

 大正時代を思わせるレトロな世界観、歌って踊り、さらに戦う魅力的な女性キャラクターたち、細部まで凝ったメカニズムの描写、戦略的なシミュレーションバトルシステム、恋愛要素を絡めたドラマチックなストーリーなど、さまざまな要素が詰まった”売れないはずがない”ゲームだったのだ(実際に大ヒットした)。

 ちなみに音楽でいえば日本レコード大賞にあたる「CESA大賞」(現・日本ゲーム大賞)が制定されたのもこの96年。そしてグランプリに該当する作品賞に輝いたのは、当然のようにこの「サクラ大戦」だった。

 その後、サクラ大戦シリーズは2005年の「サクラ大戦V~さらば愛しき人よ~」までナンバリングタイトルは5作品を数え、それ以外にも派生作品がいくつも作られた。

 また、キャラクターを演じる声優たちがそのまま舞台で歌い踊る”歌謡ショウ”というライブも斬新だった。今でいう「ラブライブ!」などのスタイルをはるかに先駆けていたというわけだ。

 ただし、新作ゲームとしては08年に発売されたニンテンドーDS用ソフト「ドラマティックダンジョン サクラ大戦~君あるがため~」を最後に11年間もブランクが空いていた。だから今回の「新サクラ大戦」は11年ぶり、第1作の発売からは24年目となるファン待望の復活作品なのである。

 第1作のテーマソングだった「檄帝国華撃団」をリメークした、新作のオープニングテーマ「檄!帝国華撃団〈新章〉」がゲームショウの会場で流れたときには鳥肌がたち、あのサクラ大戦が本当に復活するのだと実感できた。

 新作はゲームだけでなく、コミックやテレビアニメでの展開も発表されている。もちろん、歌謡ショウもやってくれるだろう。かつて一世を風靡したサクラ大戦が、令和の時代にまた大きなブームを巻き起こしてくれるのか、期待したい。

(文化部デスク・井上達也)