【デスク発ウラ話】希代のバットマンの熱い言葉

2019年09月09日 12時00分

 少し前になるが、久しぶりにソフトバンク・内川聖一内野手(37)を取材した。番記者として接していたのは横浜(現DeNA)時代の2006年だけだが、他球団担当や遊軍記者になって以降も不定期的に取材させてもらうことがあった。ありがたいことに、顔を合わせると「おっ、久しぶりっすね。なに怪しい動きしてんすか?」とニヤニヤしながら声をかけてくれる。

 現在、シ烈な優勝争いの真っただ中だが、常勝軍団となったホークスナインに焦りや気負った様子はない。選手それぞれが準備に入り、試合に臨んでいる。けが人続出、下位チームの追い上げ、まさかの連敗…これまで重ねてきた優勝は、さまざまなケースを経て達成したもの。その「経験則」があるからこその、この落ち着きなのか——。そんなことを内川に聞いてみると「少し質問の答えとは違うかもしれないけど」と前置きしつつ、こう語った。

「現実的に周りが『優勝』ってものが見えてきているから、判断するだけの話だと思うんで。何ゲーム差っていうのは、開幕からここまでやったからの数字でしょ。ここから先も一緒なんですよ。周りの人が優勝だったり、もうそろそろ(シーズンも)終わりだよねっていうのが見えてきたから『この試合、大事ですよね』ってなっているだけなんですよ。僕らからすると、開幕から『いいや、まだ開幕したばかりだし』ってやった試合はないから」

 先を見据えた戦いなどしていない、目の前の一試合一試合を全力で——。要約すれば簡単だが、内川の言葉には熱がこもり、さらに身ぶりを交えこう続けた。

「優勝っていうのは、優勝がどこになるのかっていう判断が近づいてきているから、この1試合(の意味合いが)が大きくなっているだけの話であって…。別に僕ら、ここ(開幕直後)だって、ここ(終盤戦)だって一緒。同じ気持ちでやっているから、正直(優勝絡みの質問は)こっから(開幕直後あたりから)言ってよって感じなんですよね(笑い)。踏ん張らなきゃいけない時期とか、どうしても疲れが出やすいから、もうひと頑張りしなきゃと思う時期は当然ありますけど…でも開幕からここまでやった経過を無視してるわけじゃないし、かといってこの時期から今までやってきた以上に…とかはない。…でしょ? だってそうじゃないですか。同じように打ちたい、勝ちたいと思ってやっているから」

 希代のバットマンの熱い言葉に背筋がシャンとなった。内川の“現在地”を知ろうとしたら、逆に自身にも投げかけられたような…。ベテランというだけでなく、レジェンドの域にも達しつつある「ウッチー」。またどこかのタイミングで彼の熱い思いを聞いてみたい。

(運動部主任・佐藤浩一)