【デスク発ウラ話】名プレーヤーを輩出した“日本プロ野球文化遺産”の利点

2019年09月02日 12時00分

解体の進む西武の旧若獅子寮と室内練習場

 西武は7月8日、新たな育成の拠点となる新室内練習場「ライオンズトレーニングセンター」、新合宿所「若獅子寮」をメディア向けにお披露目した。

 新施設は国内最大級、内寸50メートル×50メートルのサイズの室内練習場に最新鋭の科学的トレーニング機器、映像解析システムなどを導入した国内最先端のもの。これまで一部ファンから「公民館」と呼ばれ親しまれてきた“日本プロ野球文化遺産”とも呼べる現行の若獅子寮から「市役所」と呼ばれる新若獅子寮への引っ越しは球宴期間中に終了し、築40年を数える現行の寮と室内練習場は爆破…、いや8月から解体作業に入り跡地にはブルペン、サブグラウンドが新設されることになる。

 老朽化とはいえ、数々の名選手が巣立っていった現行施設がなくなるのは寂しいもの。しかし、「12球団で唯一」と西武が誇れる施設の利点は今後も変わることがない。それが同一敷地内に一、二軍全ての施設が集まっていることの優位性だ。

 1994年入団の松井稼頭央二軍監督(43)はその利点を「ファームの選手にとってちゃんと一軍選手の姿が見れるということがライオンズの伝統」だと語る。将来の主力を目指すファームの選手にとって一軍のレギュラークラスは本来遠い存在。しかし、一、二軍施設が一体化している西武は常に自身が目指すポジションのレギュラー選手の練習量、その方法、時にその苦悩までをも若手が目撃できる環境にある。

 松井監督は「一軍選手が(練習を)やってると二軍選手が『まだまだやらなあかん』となるし、逆に二軍選手が頑張ってると『よーし、俺も負けてられん』となる。ある意味、これがライオンズの伝統。近くにあるというのがいい。秋山にしろ山川にしろ(試合後に)打ちに来てくれるので若い子はまだまだやらないといけないと思えるし、見て学ぶこともいっぱいあると思う。他球団の球場でも試合後に打てる環境はありますけど、ファームと一緒というのはない。ここだけ。それで一軍の監督、コーチも見に来てもらえる。ファームの選手にとっては素晴らしい環境だと思う」と野手が次々に育つ西武の優位性を語る。

 ちなみに投手に関しては「野手と投手は違いますからね」と松井監督。試合後にも好きなだけ打ち込みのできる野手に比べ、上の試合で打ち込まれたからといって際限なく室内練習場で投げ込みをするわけにはいかない投手と野手の反復練習の性質の違いを挙げた。

(運動部主任・伊藤順一)