【デスク発ウラ話】吉本騒動でクローズアップされた芸能プロとテレビ局の関係

2019年08月15日 12時00分

「カラテカ」入江慎也が仲介した反社会的勢力の会合に、所属芸人が参加した闇営業問題に端を発した吉本興業の一連の騒動で、「雨上がり決死隊」宮迫博之と「ロンドブーツ1号2号」田村亮が7月20日に行った謝罪会見が、大きな話題になった。

 この会見で最も注目されたのは「謝罪会見をしたい」と訴える亮に対し、岡本昭彦社長が「テープ取ってないやろな」「会見したら、お前ら全員クビにするからな!」などと話したというパワハラ問題だろう。

 ただこの会見では、世間をざわつかせた発言がもう一つあった。それは「謝罪会見はネットで生中継してほしい」という亮に対し、吉本サイドが「在京のテレビ局5局と在阪のテレビ局5局は、吉本の株主やから大丈夫や」と言ったこと。この言葉に亮は「何が大丈夫なのか分からなかった。とても不安になった」と話していた。

 2日後に行われた岡本社長の会見では、この発言に対する質問もかなり多かった。だがその時の吉本サイドの回答は、あまりにも信じ難いものだった。吉本興業ホールディングスの小林良太法務本部長は「亮さんから生中継の希望があった。生中継するとしても株主であるテレビ局に時間帯などについて配慮しなければならないという意味」と説明した。

 記者会見を行う時間について、吉本が株主であるテレビ局に配慮するのは大きな問題だ。記者会見はもちろん報道に関わることだが、言うまでもなく日本では報道の自由が憲法で保障されている。取材にあたっては、テレビ局もネット媒体も平等でなければならない。

 だが吉本は、社長会見という公式の場で「記者会見にあたっては、株主であるテレビ局に配慮しなければならない」と言ってしまった。これは「株主だから大丈夫」という言葉が「吉本はメディアをコントロールできる」という意味に受け取られがちだったため、「そうではない」と反論するために、こう説明したのだろう。

 しかし小林法務本部長が、会見で回答した内容も大きな問題がある。株主である報道機関と株主ではない報道機関に、取材の環境において差をつけることは、報道の自由の観点から見ると大問題と言わざるを得ない。

 そもそも、取材される機会が多い芸能プロダクションの株主に、報道機関が名を連ねていることも問題といえる。企業に出資している株主は「その企業のイメージを下げたくない」と考えるのが当然のこと。そうなるとテレビ局が「吉本に対してマイナスとなる報道はしたくない」と考えても不思議ではないからだ。

 最近は、公正取引委員会がジャニーズ事務所に注意するなど、芸能プロの在り方が問われることが多くなった。今後は芸能プロとテレビ局の関係についても考えていく必要がありそうだ。

(文化部デスク・藤野達哉)