海か山か、赤チョーノを追いかけて——

2019年03月11日 23時00分

 球春到来の2月は球界で今“最も旬な男”を宮崎・日南まで追いかけ回してきた。巨人にFA移籍した丸佳浩の人的補償として広島の選手となった長野久義である。

 記者は昨年まで9年間、巨人を担当。くしくも長野とは“同期入団”“同期退団”という縁もあり、遊軍記者として赤チョーノ密着を命じられた。時の選手を巡るフィーバー模様は本紙で報じた通りだが、広島キャンプは記者にとっても新天地。取材の裏側は文字通りドタバタであった。

 中でも苦労したのが日々の“レンタカー通勤”だった。宮崎は巨人取材で幾度となく訪れている。「まあ、通えるだろう」と考えて安易に宮崎市内に宿を構えたのが間違いだった。直線距離にすれば日南まで40キロほどなのだが、このルートがかなりの“上級者コース”。信号がほとんどない片道一車線。急カーブ連続のリアス式海岸線を、話題の“あおり運転”にビビりながら、約1時間走り続けなければならないのだ。海沿いの道は天気が荒れるとヤバさを増す。嵐の夜に宮崎市内へ帰った際は道中、生きた心地がしなかった。

 そんな話を宮崎市内へ戻って、旧知のバーテンダーに打ち明けると「それなら“山”を走ったらどうですか? ちなみに僕はいつも“山ルート”ですよ」と提案された。聞けば、山側から峠越えに日南市内へ至る道があるという。早速、翌朝は教えてもらった“山ルート”で出発。ところが、この道もなかなかだった。序盤は高速を走って確かに快適なのだが、中盤は“海ルート”以上にきついカーブが続く峠道。結局、天福球場に到着したときにはヘトヘトだ。

 改めて日南市内で取材。すると、スナックのママは「“山”からきたんですかー? 絶対に“海ルート”の方がラクなのにー」と言う。いや、どっちもどっちだぜ。その後も取材を重ねたが、地元でも答えが割れていたのが興味深かった。

 日南で酒席に参加したある晩、宮崎市内までは下戸の仲間の車で送ってもらい、翌朝は電車に揺られてキャンプ地へ向かった。車窓に広がる名勝・日南海岸の絶景。多少時間はかかったが、これが実に快適だった。

(運動部主任・堀江祥天)