W杯は「その後」も大事 バックアップメンバーに注目

2018年06月04日 12時00分

 ロシアW杯に臨むサッカー日本代表のメンバー23人がついに決まった。賛否両論あるのはいつの時代も同じだし、選手選考は監督の専権事項だから、今回のメンバーも西野朗監督の意向を最大級に尊重したい。

 ただ、それでも気になるのは、選ばれた選手ではなく落選した選手。「あの選手がメンバーに入っていたらどうなってたか」と思うのが人間の心理だろうし、勝てなかった時にはなおさらそんな話がクローズアップされる。

 メディアは公平な目を要求されるとはいえ、記者だって人間。これまでW杯の取材をしてきた中で「あの選手がいたら…」と痛切に思ったのは、2010年南アフリカW杯だった。

 初戦のカメルーン戦をMF本田圭佑のゴールで勝った勢いで、3戦目のデンマーク戦も勝って1次リーグを突破。だが、激戦の代償は選手のコンディションを低下させた。主力選手にケガが続き、満足のいく状態で決勝トーナメントを戦える選手は少なくなっていた。

 そんな中で元気だったのが、「サポートメンバー」としてチームに同行していた4人の選手だった。MF香川真司、FW永井謙佑、DF山村和也、DF酒井高徳。4人は試合に出ることもないわけだから、ケガをすることもない。コンディションがいいのは当然だが、それを差し引いても元気だった。

 とりわけ、香川の動きは目立っていた。シュート、ドリブルをはじめ、全てのプレーがうなりを上げていた、というのは決して大げさな表現ではない。「香川をメンバーに入れておいたら、かなり活躍したんじゃないか」と思ったのは私だけではなかったはずだ。

 大会後、香川と話す機会があったが、その時は悔しさの中にも「やっぱり出たかったな〜」とちゃめっ気たっぷりに答えてくれた。もちろん、その思いは他の3人も同じ。そして彼らはその後、大きく飛躍した。

 マンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川はリーグ制覇に貢献し、永井は2年後のロンドン五輪で4強入りの立役者となった。山村は紆余曲折あったが、C大阪で昨季大ブレーク。サポートメンバーの中で明らかに技術面で劣っていた酒井高は、その後の欧州移籍を機に飛躍し、今や日本代表に欠かせない選手になった。

 目の前のW杯を勝ちにいくのは当たり前だが、サッカー界において大事なのは「その後」。次の大会に向けて継続した強化を続ける必要があり、その意味で「サポートメンバー」は不可欠な存在かもしれない。

 今回、落選組から23歳のFW浅野拓磨(ハノーバー)と21歳のMF井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)の2人が「バックアップメンバー」(前回から名称変更)として、チームに同行することになった。2人とも昨年8月のW杯アジア最終予選オーストラリア戦でゴールを決めて、日本をW杯に導いた選手。いわば〝持ってる男〟だ。

 最初にも言ったように、西野監督の人選は尊重する。だが〝浅野と井手口がいたらなぁ…〟という展開にはなってほしくない。さらに言えば、この2人が4年後のカタールW杯で日本中から期待されるような選手に成長してくれれば、今回の落選も意味があるのだが…。

(運動部デスク・瀬谷 宏)